不器用で人間関係も不得意なツチヤタカユキは

テレビの大喜利番組にネタを投稿することを生きがいにしていた

毎日気が狂うほどにネタを考え続けて6年が経った頃、ついに実力を認められてお笑い劇場の作家見習いになるが

笑いを追求するあまり非常識な行動をとるツチヤは周囲に理解されず淘汰されてしまう

失望する彼を救ったのは、ある芸人のラジオ番組だった

番組にネタを投稿する「ハガキ職人」として注目を集めるようになったツチヤは、憧れの芸人から声を掛けられ上京することになるが…


「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの同名私小説を原作に
笑いにとり憑かれた男の純粋で激烈な半生を描いた人間ドラマ

ツチヤという人物を原作どおり愚直に描いたら

おそらくこの映画のとおりになるのだろう

軽妙な作品か?という印象の予告編に反して、本編の内容は非常に重い


僕は立場が同じ者として遠慮なく書くが

主人公はある意味、多分障がい者である


必ず周囲の温かい目は必要だが、しかし彼を見守る側もまた人間
ちょっと常識から逸脱した彼に腹を立てることは、一度や二度ではないだろう
彼に大きな責任は無いのかもしれないが、「人間関係不得意」という彼が発した言葉は
周囲の健常者には、言い訳めいて聞こえてしまっても仕方ないと思う
自分も、障がい者を抱えた会社の部署で働いていて、強くそう感じる…

ツチヤを主人公として描けば、当然周りの人間は悪役っぽくなる

そんな中で、仲野太賀さん、菅田将暉さん、松本穂香さん

そして彼の母親役を演じた片岡礼子さんは、非常に好演だった


翻って、主役の岡山天音さんはどうか?


僕は、岡山さんは好きな役者の一人だが

この映画のツチヤタカユキという人物は、どうしても好きにはなれない

もし他の役者が、ツチヤを演じていたら果たしてどうだっただろう…?


あと、これは個人的な趣味の問題だが

号泣芝居の時、身体から汁を出しまくる役者は基本的に大嫌い

汁出しまくりの芝居で僕の心に届いたのは、ただ一人

『余命1ヶ月の花嫁』の永山瑛太さんだけである


主人公は好きになれないけど、その周りの人物の好演で評価は及第点…かな

[私の評価 ☆☆☆(5つが最高)]