大会社の人事部長である神崎昭夫は
職場では常に神経をすり減らし、家では妻との離婚問題や大学生の娘との関係に頭を抱える日々を送っていた
そんなある日、母・福江が暮らす下町の実家を久々に訪れた彼は、母の様子が変化していることに気づく
いつも割烹着を着ていた母は艶やかなファッションに身を包み、恋愛までしている様子
実家にも自分の居場所がなく戸惑う昭夫だったが、下町の住民たちの温かさや今までとは違う母との出会いを通し
自分が見失っていたものに気づいていく…

劇作家・永井愛の戯曲「こんにちは、母さん」を映画化
山田洋次監督が吉永小百合を主演に、現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ

山田洋次監督というと

最近は、(僕の中では)わりと当たりハズレが激しい監督になってしまいました

『母べえ』とか『小さいおうち』を撮っているころは、きちんとしたクリエイターだったのになあ


前作の『キネマの神様』も、“予想どおりの作品”だったため

もう山田洋次には期待しない方がよさそうだと思っていました

で、本作…


いいじゃん、いいじゃん、山田洋次!


僕が思う山田洋次監督って、万人向けの作風に見せておいて

実は、世知辛さとか苦味とかを絶妙に入れてくる作り手だと思っているんです

その、いい時の山田監督が還ってきた感じがしました

吉永小百合さんは、ここ最近でもベストといっても過言ではない演技だと思うし
孫娘役の永野芽郁さんは、助演にまわっても素晴らしいと思うし

なにより息子役の大泉洋さん、本当に上手い!


最初は、置きにいってる芝居だなと、素人のクセに生意気なことを考えていたのですが

最後にいくにしたがって、奥さんとうまくいかなくなっている理由が判明することも含め

大泉さんの上手さが炸裂するのです


母さんの想い人で教会の神父役の寺尾聰さん他、助演陣も文句無し


★1つマイナスなのは

泣かせ、あるいはそれに匹敵するシーンがなかったことぐらいかな

ハイ、はっきり言っていちゃもんです(笑)

[私の評価 ☆☆☆☆★(5つが最高)]