[<食の泉>(153)大好きなアイス/昏睡の大学生 劇的回復]
(河北新報 2015年10月29日)
アイスクリームをA君の舌にのせてみた。
するとA君の顔の半分が口になった。笑ったのである!
大きな口を開けてうれしそうに笑った。
確かに笑っていた。
これは4年前の看護週間に、日本看護協会が募集した「忘れられない看護
エピソード」の第1回の最優秀賞作品「最後まであきらめない」の一部です。
昏睡状態で病院に運ばれた大学生のA君は、母親や医療従事者の努力も
むなしく、数カ月もの間、どんな刺激にも、何の反応もない状態が続いて
いました。
そんなある日、一人の看護師が「A君は分かっているのではないかしら」と、
何となく感じたことからの行動だったのです。
意識がない状態のため、何も食べていなかったA君。
大好きなアイスクリームを口にしてどんなにうれしかったことでしょう。
これを境にA君はめきめき回復し、数カ月後には歩けるようにもなり、退院
できたとあります。
(宮城学院女子大教授 石井幹子)
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1158/20151029_01.html