フィリピンにデング熱で死ぬ子が多いのはなぜか? 秘密は遺伝子 | アクティブエイジング アンチエイジング

[フィリピンにデング熱で死ぬ子が多いのはなぜか?
                  秘密は遺伝子の可能性と初めて特定]

(Medエッジ  2015年2月18日)


<「HLA-A*33:01」という遺伝子の型との関連を発見>
フィリピンではデング熱で死亡する子どもが多い。
その秘密をたどっていくと、遺伝子の型にたどり着いた。

フィリピン国立熱帯医学研究所のエーデルウィサ・メルガード氏らの研究
グループが、プロス・ワン誌で2015年2月6日に報告している。

フィリピンのデング熱と遺伝子との関係を特定した初めての研究結果だ。
フィリピンではデング熱で死亡する子どもが多い


2014年、東京都内を中心に感染拡大が問題になったデング熱。

デングウイルスの感染症で、場合によっては出血熱を起こして重症化する。
幸い日本では死亡者こそ出なかったが、世界的には死亡者も出す問題の病気
だ。


研究グループによると、最近、フィリピンの子どもの主な死亡原因がデング
熱になっている。

研究グループは、異物に抵抗する機能である免疫の中に重症になるか否かの
分岐点があると着目した。

免疫の中で、異物を察知する仕組みの1つにHLAと呼ばれるタンパク質が関係
している。
HLAは骨髄移植のときに共通する必要がある白血球の型として知られる。

研究グループは、フィリピンの子どもを対象として、HLAの「クラス1」
「クラス2」という2つのタイプに関係した遺伝子の特徴とデング熱の重症度
との関連を検証した。

データ分析に使ったのは、2008年6月から2009年12月、マニラ中心部の
2病院のデータだ。
5歳から15歳のデング熱と診断された250人と健康な300人を、HLAの型に
よって比較した。

 HLAは複数のタンパク質が組み合わさったもので、「HLA-A」「HLA-B、」「HLA-DRB1」に注目して遺伝子の特徴を分析した。
重症化の原因を追った先に

結果として、重度のデング熱とデング熱ショック症候群になるグループで、
「HLA-A*33:01」と表現される遺伝子の型の頻度が明確に下がっていると
判明した。

過去には別の研究でこの遺伝子の型とデング熱の重症化との関係が指摘された
こともあった。
フィリピンでデング熱による重症化を追っていった結果、初めて浮上した
原因がこの遺伝子の型だった。




特定された遺伝子の型HLA-A*33:01と関係する特徴を突き詰めていくと、
重度のデング熱の予防につながる可能性もある。
防ぐメカニズムについてさらに研究を進める必要がありそうだ。
デング熱対策にもつながる新しい発見となった。




http://www.mededge.jp/a/cold/8961