[医師が解説。焼肉を食べると下痢になる2つの理由とは]
(教えて!goo ウォッチ 2017年8月10日)
「高級料理」の代表格の一つ、焼肉。
記念日や何かを頑張ったご褒美に食べるという人も多いのではないだろうか。
だが、スーパーの安い肉を食べても全然平気なのに、奮発して高い肉を食べた
ときに限って下痢をする、ということは意外とよくある話。
「教えて!goo」にも「焼き肉を食べると下痢をする?」という質問が投稿
されているが、食中毒でもないのに、なぜ下痢になってしまうのだろうか?
<下痢を起こす2つの理由>
この疑問を解決すべく、青山内科クリニック院長で消化器内科医の青山伸郎
先生にお話を聞いてみた。
そもそも、下痢になるときには体内でどのような現象が起きているのだろう
か?
「便の水分含有量は約60%が正常ですが、下痢便は水分含有量が増加した
場合を指し、結果として排便回数が増加します。下痢便になるのは、腸の
ぜんどう運動亢進、または、腸の消化吸収機能の低下が原因です」(青山
先生)
腸のぜんどう運動とは、腸の収縮運動により、便を体外に排出させようとする
動きのこと。
よく便秘の人は「ぜんどう運動を活性化しましょう」といわれるが、これが
通常より活発になると(亢進)、下痢になる。
では、それが一体焼肉とどう関係するのだろうか。
<「脂肪分の摂りすぎ」と「アルコール摂取」で下痢になる!?>
焼肉を食べた際に下痢になる1つめの原因は、脂肪分を多く摂りすぎたこと
だという。
「脂肪は、他の栄養素に比べて消化に時間がかかります。過剰摂取する
ことで分解されず、そのまま腸へ移動することになります。脂肪自体に
腸管ぜんどう運動亢進作用がありますので、下痢を起こすことになります」
(青山先生)
高級霜降り肉など、脂肪分が多いと、それだけで胃腸への負担が大きいよう
だ。
しかも、普段めったに食べられないからといって、野菜を摂らずにガツガツ
肉だけ食べている人も多いのでは?
「高い肉だと下痢になる」という人は、脂肪分の摂りすぎが原因なのかも
しれない。
そして、もう1つの原因は、焼肉のお供となるアレだという。
「飲酒によるアルコールも原因として考えられます。アルコールは腸管を
ただれさせます(炎症)。また、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに
分解されますが、その解毒のため、消化を助ける胆汁生成が追いつかなく
なり、下痢を起こすことになります」(青山先生)
肝臓には、代謝、解毒、胆汁生成という主に3つの機能がある。
アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質といわれるが、肝臓の解毒作用により
無毒化される。
ビールと焼肉は相性抜群のコンビだが、アルコールの大量摂取によって
間接的に消化不良を引き起こし、下痢になってしまうようだ。
これらの要因から、焼肉を食べて一時的に下痢になった場合は心配ないが、
常時下痢が続いている場合は病気を疑う必要がある。
青山先生によると、難病である潰瘍性大腸炎やクローン病も最近増加してる
とのこと。
下痢や腹痛が続く場合は専門医を受診しよう。
<下痢になる前に。脂肪分の少ない部位をチョイス!>
では、下痢にならないためにはどのようなことに気を付けたら良いのだろう
か。
「焼肉では脂肪分の多い種類に偏らないこと、また、消化する際、胆汁に依存
する割合の少ない豆腐や味噌などの植物性タンパク質、チーズなど乳製品が
すすめられます。食物繊維も効果的ですが、不溶性食物繊維は腸を刺激して
しまうので注意が必要です。飲酒量を自分で調整することはいうまでもありま
せん」(青山先生)
脂肪分が少ないといわれるのは、ヒレなどの赤身肉。
カルビなどは脂肪分が多い部位なので、食べ過ぎないようにしよう。
また、肉だけでなく、スープやサラダを一緒に食べるようにすると◎。
ただし、豆類やきのこ類など不溶性食物繊維が多く含まれている食品は注意
したい。
年に数回しか食べる機会がない人も多いであろう焼肉、下痢になって
しまったらおいしさも半減。
口にするものや飲酒の量に気を配り、楽しいひとときを!
(酒井理恵)
http://news.livedoor.com/article/detail/13455062/