[受動喫煙:大動脈疾患死リスク2.35倍 筑波大など発表]
(毎日新聞 2017年8月7日)
受動喫煙の頻度が高い人は、ほとんどない人に比べ、大動脈解離など大動脈の
病気によって死亡するリスクが2.35倍になるとの調査結果を、筑波大などの
チームが米専門誌に発表した。
受動喫煙と大動脈の病気との関係を明らかにしたのは初めてという。
チームは1988~1990年当時に、40~79歳だった全国の4万8677人に喫煙や
受動喫煙などについて聞き、その後、平均16年にわたって追跡調査した。
調査対象のうち、大動脈が突然裂ける「大動脈解離」や、こぶのように
膨らんで破裂すると大量出血する「大動脈瘤」で141人が死亡した。
非喫煙者を受動喫煙の頻度に応じて3つのグループに分けて調べると、
大動脈の病気による死亡リスクは、頻度が高いグループ(家庭で毎日2時間
以上か、職場や飲食店などでほぼ毎日)が、受動喫煙のほとんどない低頻度
グループの2.35倍だった。
中頻度(高頻度よりも少ないが受動喫煙の環境にいる)と、低頻度とでは
ほとんど変わらなかった。
受動喫煙の場所についても調べたところ、家庭より職場や飲食店の影響が
大きいとみられることも分かった。
先の通常国会では、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案について、
提出自体が見送られた経緯がある。
調査した山岸良匡・筑波大准教授(社会健康医学)は「国内での受動喫煙対策
推進の必要性を改めて示す結果だ」と話している。
【大場あい】
https://mainichi.jp/articles/20170807/k00/00e/040/168000c