閉経は進化の過程で獲得したヒト特有のもの | アクティブエイジング アンチエイジング

[閉経は進化の過程で獲得したヒト特有のもの]

(HealthDay News  2007年12月13日)


メスのチンパンジーには、ヒトとほぼ同じ年齢から生殖能力が衰える傾向は
あるものの、ヒトと同じような閉経は認められないことがわかった。

研究を行った米ハーバード大学のMelissa Emery Thompson氏によると、
特に健康な個体に着目した場合、40歳代ではヒトよりもチンパンジーの方が
高い生殖能力をもつようだという。
野生のチンパンジーでわかっている範囲での最高齢での出産例は推定55歳で、
この個体が63歳で死亡する直前にも生殖周期の再開が認められている。

研究チームは、野生のメスのチンパンジーを対象に出産率データを分析。
その結果、ヒトと同じようにチンパンジーも40歳以降で出産率が低下する
ことが判明し、ヒトの「出産可能年齢」という生物学的時計が進化の過程で
ある程度維持されてきたことが示された。
しかし、チンパンジーの生殖能力は、閉経があるヒトとは異なり、寿命に
近づくにつれて下降傾向を示すだけで、健康なメスでは、高齢になっても高い
出産率を維持している。

ヒトの閉経の適応的意義、つまりその後の余命の長さに関係があるのかに
ついては今も議論の対象だが、今回の研究によって、進化的な背景がさらに
強く示されたとThompson氏らは述べている。

このチンパンジーに関する知見のほか、野生のゴリラおよびオランウータンに
関する最新の知見からも、閉経はヒトの系統だけに生じた独特のものである
ことが示されているという。


この研究は、医学誌「Current Biology」12月18日号に掲載された。




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