[マルチビタミンで寿命が延びる可能性]
(HealthDay News 2009年5月18日)
マルチビタミンは、染色体の末端部分であるテロメアの短縮予防に有用で
あり、結果として女性の寿命が延びる可能性があることが、新しい研究に
よって明らかにされた。
テロメアは染色体を損傷から保護している。
細胞が分裂するとテロメアがわずかに短縮することから、米国立環境衛生科学
研究所(NIEHS)のHonglei Chen博士らは、この短縮を予防すれば、新しい
細胞を保護することができ、加齢の影響が低減する可能性があると推測した。
米国立衛生研 究所(NIH)の資金援助を受けて実施した今回の研究で、
同氏らは、乳癌(がん)患者で姉妹には癌が認められない女性を対象とした
姉妹研究の被験者586人のデータを分析。
研究の一部として、被験者に12年間のビタミンサプリメントの使用状況を
尋ねた。
また、血液検体を採取し、 DNA検査も実施した。
研究の結果、マルチビタミンを1日1回摂取していた女性は摂取していない
女性に比べて、白血球テロメア長が平均 5.1%長かった。
これは、約9.8年の加齢によるテロメア長短縮に相当するという。
Chen氏は「食事によるビタミンCやEの摂取も、より長いテロメア 長と関連
していた」としている。
同氏は「マルチビタミンを摂取する女性のほうが、白血球テロメアが長いと
いう疫学的エビデンス(根拠)が 示されたのは今回が初めて。ただし、
ビタミンがテロメア長を維持し、実際に寿命を延ばすかどうかは不明である。
健康なライフスタイルによる可能性も排除で きない。マルチビタミンの
使用が加齢の過程を遅らせると結論づけるのは時期尚早である」としている。
米エール大学医学部(コネチカット 州)予防研究センター所長のDavid Katz
博士は「ビタミン摂取の価値については様々な意見があり、確固たる
エビデンスが得られるまで、摂取するかどうかは個人の選択である」として
いる。
同氏はまた、今回の研究はビタミンの使用を割り付けて行ったものではなく、
観察的なものである点も指摘している。
研究報告は、米医学誌「American Journal of Clinical Nutrition(臨床栄養
学)」6月号に掲載された。
http://www.healthdayjapan.com/