[アトピー:皮膚の炎症、カビが原因 広島大]
(毎日新聞 2013年06月06日)
アトピー性皮膚炎の患者が汗をかくと炎症を引き起こすことについて、広島
大大学院の秀道広教授(皮膚科学)らの研究グループは6日、人間の皮膚に
存在するカビが作り出すたんぱく質が原因であると発表した。
このカビは「マラセチアグロボーザ」で、作り出されたたんぱく質が汗に
溶け込んで体内に入ることでアレルギー反応を起こすとしている。
研究グループは、原因物質が解明されたことで、より効果的な治療法や
スキンケア方法の開発が期待できると説明。
研究グループの論文は先月31日(日本時間今月1日)、米医学専門誌の
オンライン版に掲載された。
汗がアレルギーを引き起こすことは分かっていたが、具体的にどの物質が
原因かは分かっていなかった。
研究グループが人間の汗に含まれる物質を分析したところ、かゆみを起こす
物質「ヒスタミン」が放出される際、カビの一種の「マラセチアグロボーザ」が
作り出すたんぱく質が炎症に関わっていたことが分かった。
このカビは、健康な人間の皮膚にも存在し、作り出されたたんぱく質は、
ごく微量でもアレルギー反応を引き起こすという。
秀教授は「今後、たんぱく質だけを取り除く製品などを開発することで、
患者のアトピー性皮膚炎を和らげることが期待できる」と話している。
【吉村周平】
http://mainichi.jp/select/news/20130607k0000m040098000c.html