[尿酸値:腸の炎症あると上昇]
(毎日新聞 2016年8月31日)
痛風との関係が深い尿酸値は、腸の炎症などでも高くなるとの研究結果を、
防衛医科大、済生会横浜市東部病院などのグループが30日、発表した。
腸に炎症が起きると、尿酸を排出する働きが阻害されて血液中の尿酸値が高く
なるためだという。
簡便な測定によって消化器の病気の診療に役立つ可能性があるという。
尿酸は体内で作られる老廃物で、普段は腎臓や腸を通して排出される。
その機能が低下すると血液中の尿酸値が高まり、激しい関節痛を伴う痛風を
引き起こす。
研究グループが急性腸炎の小児患者67人の血液100ミリリットル中の尿酸値を
調べたところ、平均8.8ミリグラムと高かったが、回復した後では数値が
半分に下がった。
腎臓の影響を除去して腸と尿酸値の関係を調べるため、慢性腎不全の106人を
調査。
その結果、小腸にある尿酸を運ぶたんぱく質「ABCG2」の機能が低い人ほど
尿酸値が高い傾向があり、ABCG2が腸の尿酸の排出に重要な役割を果たす
ことが分かったという。
防衛医科大の松尾洋孝講師(分子生体制御学)は「尿酸値の測定が、痛風
だけでなく、消化器疾患の病状の変化を把握するマーカー(目印)になり
そうだ」と話している。
【下桐実雅子】
http://mainichi.jp/articles/20160831/k00/00e/040/181000c