[経口骨粗鬆症治療薬による顎骨壊死は予想以上に多い]
(HealthDay News 2009年1月1日)
経口骨粗鬆症治療薬として処方されることの多いビスホスフォネート製剤に
よる顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)発症率は、これまで考えられて
いたよりも多いことが、新しい研究によって示唆された。
同製剤は、骨粗鬆症患者の骨折リスクを低減し骨量を増加させたり、
癌(がん)が骨転移した患者や多発性骨髄腫患者の骨の“ターンオーバー”を
遅らせるために用いられる。
顎骨壊死は、疼痛や軟部組織の腫脹、感染、歯のぐらつき、骨の露出を特徴と
し、その発現リスクは、ビスホスフォネート製剤の高用量静脈注射(静注)
では高いが、経口剤では“ごくわずか”であるとされていた。
米南カリフォルニア大学(USC)歯学部(ロサンゼルス)臨床歯科助教授の
Parish Sedghizadeh博士は、以前は年1回であった顎骨壊死の新規症例が
週1〜4回みられるようになったため、今回の研究に踏み切った。
歯学部の電子カルテデータベースを検索した結果、処方頻度の最も多い
経口ビスホスフォネート製剤であるアレンドロン酸ナトリウム水和物
(商品名:フォサマックなど)の服用患者208例中9例に進行中の顎骨壊死が
認められ、有病率は約4%であった。
全例、抜歯など何らかの歯科処置を行っており、顎骨壊死は同薬を1年間
服用した症例でも認められ、抜歯後の発症頻度が最も高かった。
Sedghizadeh氏は、同薬によって抜歯後の露出した骨に細菌が付着しやすく
なると推測している。
USC歯学部では現在、全例のスクリーニングを実施しており、紹介受診の
症例を除き合併症はみられないという。
研究結果は、米国歯科医師会誌「JADA」1月1日号に掲載された。
米ユニバーシティ病院ケースメディカルセンター・マクドナルド女性病院
(クリーブランド)のJames Liu博士は「今回の知見は経口ビスホスフォ
ネート製剤を服用している女性に服用中止を促すものではなく、これまで
考えられていたよりも副作用の発現頻度が多いことを示したもの」と述べて
いる。
フォサマックを製造している米メルク社では「今回の研究は方法等に問題が
あり、データに信頼性がない。1万 7,000人以上の患者を対象とした比較
試験で顎骨壊死は報告されていない」としている。
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