[潰瘍性大腸炎]
(Wikipedia)
潰瘍性大腸炎(UC)は、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の
非特異性炎症性疾患。厚生労働省より特定疾患に指定されている。
クローン病とともに炎症性腸疾患(IBD)に分類される。
<疫学>
10~30歳ないし、50~60歳台に多く見られる。
米国での罹患数は約100万人。
日本での発症年齢の多い年齢層は、男性で20~24歳、女性では25~29歳と
されているが、40歳代から60歳代の発症例も増えている。
平成21年度の患者数は約11万人、平成25年度の患者数は約16万人とされる。
大阪大学大学院歯学研究科の研究によれば、潰瘍性大腸炎患者の唾液中の
ミュータンス菌は、標準菌と異なる糖鎖を持つグルコースの側鎖を持たない
高病原性株TW295 の検出率が高く、高病原性株への感染は潰瘍性大腸炎
発症のリスクが高い。
腸内細菌である硫化水素産生菌が産生する硫化水素が潰瘍性大腸炎の原因では
ないかとの指摘がある。
大腸の粘膜に硫化水素を代謝する酵素が存在するが、その処理量以上の硫化
水素に大腸がさらされることが潰瘍性大腸炎の原因となるのではないかとの
指摘がされている。
硫化水素はミトコンドリアに所在するシトクロムcオキシダーゼを阻害する
ことにより毒性を発現する。
高濃度の硫化水素に曝露されることでアポトーシス関連タンパク質である
caspase3の活性化、ミトコンドリアからのシトクロムcの遊離が見られ、
ミトコンドリアを介したアポトーシスが誘導される可能性がある。
大腸粘膜を傷害するおそれのある有害な物質の発生を制御するためシソ科を
中心としたいくつかの植物の抽出物を動物にあたえることで硫化水素や
メタンチオールの発生を抑制することが報告されている。
イギリスで行われた調査では約3分の1のヒトがメタン菌を保有するメタン
生産者である。
メタンガスを作らないヒトでは、水素を利用するメタン菌の代わりに硫酸
還元菌が水素や乳酸を利用して硫酸イオンを還元し、硫化水素をつくる。