[親が便秘だと子供も便秘 イライラの原因にも]
(毎日新聞 2016年8月25日)
保護者が便秘傾向にある子供は、そうでない子より3倍便秘傾向にある−−。NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都港区、加藤篤代表)が小学生の子供を
持つ保護者を対象に調査したところ、こんな結果が明らかになった。
大人と同様に、子供も便秘がイライラや落ち着きを欠く原因になることも
ある。
同研究所は、子供の便秘は家庭環境の影響もある、と分析。
保護者が正しい排便の知識を持つことが重要と指摘している。
<便秘なのに便秘と自覚していない保護者が半数以上>
同研究所が今年3月に実施した「小学生の排便と生活習慣に関する調査」
では、小学生の5人に1人が便秘状態にあるにもかかわらず、その保護者の
うち32.0%は子供が便秘状態と認識していなかったことが分かっている。
今回の「親と子の便秘に関する調査」は8月、小学生の子供を持つ保護者を
対象にインターネットで実施。
25〜49歳の男女621人から回答を得た。
同調査では、
・排便頻度が3日に1回以下
・便失禁がある
・便を我慢することがある
・排便時に痛みがある
・便が硬い
・トイレが詰まるくらい大きな便が出る
の6項目のうち2つ以上に該当する人を「便秘状態にある」と定義。
これをもとに保護者の排便状況を尋ねたところ、26.2%が便秘状態にある
ことが分かった。
また、便秘状態だった保護者に自分が便秘気味だと思うか尋ねると、自覚して
いる人は30.8%しかおらず、「まったくそう思わない」(16.9%)、「そう
思わない」(16.9%)、あまりそう思わない(21.9%)の合計(55.7%)を下
回った。
自覚している人の64.2%は、1年以上その状態が続いていると回答。
便秘を自覚している人のうち、実際に便秘状態に該当した保護者に便秘に
なって困っていることを聞くと、「イライラする・気分が優れない」が
70.7%で最も多く、「腹部が張っている」(69.1%)、「排便に時間が
かかる」(65.9%)も多かった。
<子供に落ち着きがないことの原因に便秘も>
さらに子供の排便状況を尋ねたところ、16.6%が便秘傾向を示した。
この結果を保護者自身の便秘状態別に比べてみると、保護者が便秘傾向では
ない子供のうち、便秘状態にあったのは10.9%だったのに対し、保護者が
便秘傾向の子供の中では、約3倍の32.5%が便秘状態だった。
また、家庭で普段子供と便や排せつに関する会話をするかや、子供の便の
状態をチェックしているかを聞いてみると、会話している人の割合は45.8%で
会話していない人の割合(36.9%)を上回ったのに対し、便の状態をチェック
している人の割合は35.4%でチェックしていない人の割合(51.8%)を
下回った。
同研究所の担当者は、保護者が便秘状態だと子供も便秘傾向を示す理由に
ついて「排便は食や睡眠、運動など生活習慣全体のアウトプットで、家庭
環境が影響しやすい。また、保護者が3日に1回しか排便がなければ、子供も
3日に1回で便秘と認識できず、全体的に排便に関する情報が不足している
ことも考えられる」と分析。
便秘を自覚している保護者の約7割が「イライラする・気分が優れない」と
回答したことから「これは子供も同じで、落ち着きがない、怒りっぽいことの
原因に『便秘』が隠れているかもしれない。子供たちの快便をサポートする
ためにも、保護者に排便に関する正しい情報を届け、子供たちに排便に関する
教育をすることが急務だ」としている。
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160824/med/00m/010/013000c