うつ病に関与のタンパク質特定 | アクティブエイジング アンチエイジング

[うつ病に関与のタンパク質特定]

(山陽新聞  2017年05月31日)


岡山理科大理学部の橋川直也講師(分子生物学)、橋川成美准教授(薬理学)
らのグループは、うつ病に特殊なタンパク質「HSP105」が関与している
ことをマウスを使った実験で明らかにした。

既存の胃薬を投与すると症状が抑えられることも分かり、新たなうつ病の
予防や治療法の開発につながる成果と期待される。

論文が31日付の米科学誌電子版に掲載された。


グループは、体内の至る所に存在し、傷付いたタンパク質を修復したり、
細胞を保護したりするタンパク質群が、うつ病に関わっているとみて研究。
熱などのストレスによって増える「熱ショックタンパク質(HSP)」と
呼ばれるタンパク質群で、他のマウスから攻撃を受けストレスでうつ状態に
なったマウスを使って関連性を調べた。

その結果、うつ状態のマウスでは多くの種類があるHSPのうち「105」という
タイプが脳内の一部で減少していた。

HSPを増やす働きを持つ胃薬を経口投与すると、うつ症状の特徴である攻撃
マウスに対する行動力の低下を抑えることができた。

さらに、HSP105は、うつ病など脳の神経疾患に関与することが知られている
「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というタンパク質の量を増やすことで、
うつ症状を抑えている仕組みも突き止めた。


橋川直也講師は「既存薬であれば新薬の開発に比べて実用化へのハードルは
低い。類似薬に同様の効果があるかや、どのような原因によるストレスに
対して有効かなど、検討を重ねたい」と話している。




https://news.goo.ne.jp/article/sanyo/world/sanyo-87934845.html