[歯周病と関節リウマチに大きな関係性!
歯周病治療で関節リウマチが治るかも!?]
(Healthpress 2017年02月03日)(depositphotos.com)
歯周病と関節リウマチの関連は以前から指摘されていたが、ある特定の細菌に
よってその関連を説明できる可能性が、新たな研究で示唆された。
この発見により関節リウマチの原因も明らかにできる可能性があるという。
研究著者の1人である米ジョンズ・ホプキンス大学医学部(ボルチモア)の
Felipe Andrade氏は、「もしこの知見が正しければ、関節リウマチに対する
考え方や治療法はこれまでとは全く異なるものになる」と述べている。
<歯周病患者はリウマチになる確率が2倍>
関節リウマチは過剰な免疫反応による慢性的な関節炎で、関節以外の
さまざまな身体システムにも影響を及ぼすことがある。
100年以上も前から、関節リウマチ患者に歯周病がみられる確率が高いことが
知られており、共通する因子の存在が疑われていた。
近年、関節リウマチ患者では歯の数が少ないほど重症度が高い傾向が認め
られており、歯周病患者は関節リウマチになる確率が2倍であることも報告
されていたが、その理由は不明のままであった。
「一時期までは、関節炎の人は手がよく動かないため歯磨きが十分にできない
とも考えられていた」とAndrade氏はいう。
近年の仮説では、両方の疾患に細菌が寄与している可能性に焦点が当てられて
いるが、その機序は明らかにされていなかった。
今回の研究では、関節リウマチ患者の歯肉より採取した約200の検体に
ついて、アクチノバシラスアクチノミセテムコミタンスと呼ばれる歯周病
関連菌の有無を調べた。
関節リウマチ患者のほぼ半数に感染の徴候がみられたのに対し、歯周病も
関節リウマチもない集団では11%であった。
この結果から、歯周病と関節リウマチがいずれもこの細菌に起因している
可能性が示される。
細菌が歯周病を引き起こした後に一種の副作用として関節の腫れを
もたらすか、あるいは逆に歯周病が関節リウマチの副作用であるとも
考えられる。
歯周病と関節リウマチの因果関係を明らかにするにはまだ数十年かかる
可能性があるが、それでも、細菌の関与に関する今回の知見は関節リウマチの
予防と治療に「いずれ役立つ可能性がある」と、米テキサス大学サウス
ウエスタン医学部臨床教授のScott Zashin氏は話す。
同氏によると、細菌を標的とすることは、関節リウマチの発症リスクが高いが
まだ症状が出ていない人に特に有用であると考えられるという。
Andrade氏は、「この知見は抗生物質が関節リウマチ治療の選択肢となりうる
ことを強く示唆するものだ」と述べている。
この研究は「Science Translational Medicine」オンライン版に12月14日掲載
された。
http://healthpress.jp/2017/02/post-2794.html