[母親の糖尿病で子どもの自閉症リスクが高まる]
(Medエッジ 2015年4月25日)
妊娠26週までに妊娠糖尿病と診断を受けた母親の子どもは、自閉症のリスクが
高いことが分かった。
米国カイザー・パーマネンテ南カリフォルニア病院のアニー・H・シャン氏
らの研究グループが、有力医学誌JAMA誌において2015年4月14日に報告
している。
<血糖値が高いと発達に影響か>
妊娠中の母親の血糖値が高いと、器官の発達や機能に長期にわたって影響を
及ぼす可能性がある。
これまでの研究で、妊娠前に糖尿病だった人や妊娠中に初めて高血糖が
見つかった人の子どもが肥満や代謝異常になるリスクについて明らかにされて
きた。
しかし、このような状態が胎児の脳の発達を防ぐ可能性や、神経行動の発達
障害のリスクを高めることについては、はっきり示されていない。
自閉症は専門的には虹のスペクトルように症状が多様であることから専門的
には自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼ばれている。
今回は、この自閉症スペクトラム障害と血糖のとの関係を調べている。
研究グループは、カイザー・パーマネンテ南カリフォルニア病院で1995年
から2009年に生まれた32万2323人を対象として、特定の節目の日まで追跡を
した。
節目の日とは、自閉症スペクトラム障害と診断を受けた日、この病院で保険
適用を受けて医療行為を受けた最終日、死因を問わず死亡していた場合のは
死亡日、追跡を終了する日である2012年12月31日まで。
<妊娠前からの2型糖尿病は無関係>
結果として、追跡対象となった子どもの母親の糖尿病との関係は、全体の
およそ1割が糖尿病と関係していた。
まず妊娠前から2型糖尿病だったのは2.0%に当たる6496人。
妊娠糖尿病となったのは7.8%に当たる2万5035人だった。
糖尿病にはかかっていなかったのは90.2%の29万792人だった。
誕生後に平均5.5年追跡した結果、3388人の子どもが自閉症スペクトラム
障害と診断され、自閉症スペクトラム障害の子どもの母親の内訳は、2型
糖尿病が115人、妊娠26週未満での妊娠糖尿病が130人、妊娠26週以降での
妊娠糖尿病が180人、糖尿病にかかっていない人が2963人だった。
自閉症スペクトラム障害と自閉症との関係の分析について、母親の年齢、
家庭の収入、民族、人種、子どもの性別などの条件で調節したところ、
26週までに妊娠糖尿病と診断されると、子どもの自閉症スペクトラム障害の
リスクが高くなることが明らかになった。
妊娠前からの2型糖尿病とは無関係だった。
<母親のたばこや体重増加は?>
母親がたばこを吸っているか、妊娠前のBMI、妊娠中の体重増加とは関連して
いなかった。
糖尿病薬もそれだけの条件では子どもの自閉症スペクトラム障害のリスクと
関連することはなかった。
研究者によると、このリスクは胎児の低酸素症、臍帯血と胎盤組織の酸化
ストレス、慢性炎症、遺伝子を変化させる仕組みと関連している可能性が
あるということだ。
妊娠中の糖尿病には子どもの精神的な提供の点からも気を付けた方が良さそう
だ。
http://www.mededge.jp/a/gyob/12180