[子どもが亜鉛を取ると、脳の力が強くなる可能性あり]
(Medエッジ 2015年6月12日)
子どもが亜鉛を取る量が増えると、いわば「脳の力」である認知機能が強く
なる効果があるのかもしれない。
英国セントラル・ランカシャー大学を含む研究グループが、栄養学の国際誌
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション2015年
6月号で報告した。
<18の研究を収集>
発展途上国では、微量栄養素(ビタミン・ミネラル)の不足が子どもの発達に
重大な影響を及ぼしていると考えられているが、食事から亜鉛を取る量と
認知機能との関連性は分かっていない。
研究グループは、子どもが亜鉛を取る量、体内の亜鉛レベル、認知機能の
関連性について、過去の論文のデータを「メタ解析」という方法で統合的に
解析して調べた。
世界的な論文データベース「エンベース」「メドライン」「コクラン
ライブラリー」を対象として、2014年3月までに発表された論文から
亜鉛を補充または食事から亜鉛を取る量を測定した研究を検索した。
研究の内訳は、対象者をランダムにグループ分けして比べる「無作為化比較
試験」12(対象が子ども11、成人1)、集団をある期間にわたって調査する
「観察研究」6(対象が子ども2、成人4)。
<亜鉛が認知機能を高める>
合計18報のうち9報が、亜鉛を取る量または体内の亜鉛レベルと、認知機能に
関係した何らかの指標が関係すると報告していた。
要するに、亜鉛が多くなるほど、知能が高まる、実行力が高まるといった
可能性を示していた。
ただし、データをまとめて分析すると、おとなを対象とすると研究が少なく
十分に分析できなかったが、子どもを対象とする6つの無作為化比較試験の
分析では、亜鉛を取る量が増えても、認知機能の尺度(知能、実行機能、
運動機能)に影響しないという結果になった。
研究グループは、収集した研究の設計がさまざまで、6試験しか分析に含め
られなかったと説明。
総合的に見ると亜鉛補充の影響が見られなかったが、全体的に実行機能と
運動機能の発達における改善がわずかながら認められたと述べている。
岩牡蠣のような貝類をはじめ、亜鉛を多く含む食べ物は、認知機能によらず
体に良い効果がある。子どもの時代から心掛けて取ると良いのだろう。
http://www.mededge.jp/b/heal/14362