味覚障害とは | アクティブエイジング アンチエイジング

[味覚障害]

(あなたの健康百科)


<服用中の薬剤が原因に><多い降圧剤や利尿薬>


味が分からない味覚障害に悩む人がいる。
原因はいろいろあるが、最も多いのは薬によるものだ。
「味覚障害の原因となる薬剤は、分かっているだけでも150種類ほどあり
ます」と、日本大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の池田稔・助教授は話して
いる。

 

<亜鉛が不足>
舌の表面は小さな突起に覆われているが、その中に味細胞が集まってできた
味蕾という組織がある。
この味蕾が味を感じ、味覚神経を介して大脳に伝える役目をしている。

こうした味を感じる経路のどこかに異常があると、
・味覚が低下する
・全く味が分からない
・特定の味だけ分からない
・味を取り違える
といった味覚障害が起こる。
この障害の発生率は、人口10万人当たり約140人の割合だ。

「味覚障害の約75%は、味覚の低下、あるいは味が全く分からないケース
です。原因はいろいろありますが、薬剤による場合が約22%と最も多いの
です。加齢とともに増加する傾向があり、70歳以上では、薬剤性の味覚障害は
3人に1人です」と池田助教授。
これは、高齢になるにつれ薬を服用する機会が増えるためと考えられる。

原因となる薬は、分かっているだけで約150種もあり、降圧剤や利尿薬が
多い。

「亜鉛が不足すると、味蕾の味細胞に異常が生じることが分かっており、
降圧剤や利尿剤は、体内で亜鉛と結合して排出されることから、味覚障害を
起こすと考えられています」

 

<腎臓や肝臓の病気でも>
亜鉛の排出は、抗うつ剤や抗不安薬、抗生物質、抗がん剤などでも起きると
いう。

「味覚障害は、どの薬で起きても不思議ではないのですが、薬剤以外にも、
亜鉛そのものの不足、亜鉛の代謝と関係する腎臓や肝臓の病気、糖尿病、
さらに口内炎などの口腔内の病気でも起こります。味覚の異常を感じた
ときは、最寄りの耳鼻咽喉科で原因を調べてもらうことが大事です」

味覚障害の診断は、電気刺激や試薬を付けた濾紙を用いた味覚検査、亜鉛の
濃度を調べる血液検査で行われる。

原因については、服用薬や病気の有無などで判断する。

治療は、原因によって異なるが、基本的には亜鉛の内服薬が用いられる。

「薬剤性が疑われる場合は、できるだけ原因薬を減らすか中止して、他剤に
変え、亜鉛剤を用います。その効果は、服用3カ月後ぐらいから出始め
ますが、治療開始が遅れると効果は上がりにくくなります」


お年寄りは、味覚の低下を年のせいにしがちだが、生活の質を保つには、
早期に受診した方がよい。

 

 


http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/200003171.html