胃薬「PPI」で認知症の危険性、非服用者の1.4倍 | アクティブエイジング アンチエイジング
[胃薬「PPI」で認知症の危険性、非服用者の1.4倍―独研究]

(あなたの健康百科  2016年02月23日)


<高齢者7万人を調査>
逆流性食道炎のつらい胸焼けから救ってくれる胃薬「プロトンポンプ阻害薬
(PPI)」だが、新たな副作用として認知症になる危険性が高まることが、
ドイツから報告された。

ドイツ神経変性疾患センターのブリッタ・ヘーニシュ氏らは、認知症のない
75歳以上の高齢者約7万人を対象に調査を実施。
その結果、PPIを服用している人ではそうでない人と比べ、認知症になる
危険性が1.4倍高かったと、2月15日発行の米医学誌「JAMA Neurology」
(電子版)に発表した。



<服用避けると予防できる?>
胃酸の分泌を抑えるPPIは、胃潰瘍や逆流性食道炎の治療、ピロリ菌の除菌
補助などに使われている。

一方で、骨折や肺炎、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)、腎炎
などとの関わりが指摘されており、先日も慢性腎臓病になる危険性が高まる
ことが報告されたばかりだ。


ヘーニシュ氏らは今回、認知症を発症していない75歳以上の7万3,679人を
対象に、PPIの服用と認知症について調べた(PPI服用2,950人=女性77.9%、
平均年齢83.8歳、非服用7万729人=女性73.6%、平均年齢83.0歳)。

年齢や性別、持病などの影響を取り除いて分析した結果、服用している人が
認知症になる危険性は、服用していない人の1.44倍だった。


ヘーニシュ氏らは「PPIの服用を避けることで、認知症を予防できる可能性が
ある」と指摘。
一方で、今回の研究はPPIと認知症の関係を生物学的に証明するものでは
なく、さらに除外できなかった他の要因が影響した可能性もあるとし、
「高齢者におけるPPIと認知症の直接的な因果関係を確認するためには、
ランダム化比較試験(より精度の高い研究方法)が必要」と結論している。



なお、これまでの研究で、PPIを服用するとビタミンB12が不足したり、
脳にアミロイドベータというタンパク質が染みつきやすくなる可能性が指摘
されている。

しかし、ビタミンB12をサプリメントなどで補給すればPPIの副作用を
避けられるかどうかについては、今回の研究では言及されていない。



<過去10年で処方数4倍>
米ピッツバーグ大学公衆衛生大学院のルイス・H・クーラー教授らは、同日
発行の同誌(電子版)で「今回の研究は、PPIの服用と認知症になるリスクの
関連について重要な問題を提起するもの。認知症になるリスクがとても高い
高齢者で長期間PPIを処方されているケースがとても多いことを考えると、
非常に重要な問題だ」と指摘している。


PPIを服用する人は、高齢者を中心に急増しているという。
全ての薬の中でも最も多く処方されている部類に入り、ドイツでは過去
10年間に処方数が4倍増。
その処方の40~60%は不適切なものだとする研究もある。





http://kenko100.jp/articles/160223003809/#gsc.tab=0