[脳内の行動切り替え関与物質特定、認知症治療に応用期待 福島県立医大]
(河北新報 2014年05月13日)
福島県立医科大医学部付属生体情報伝達研究所の小林和人教授らの研究
チームは12日までに、動物の脳内で神経伝達物質「アセチルコリン」の働きを
抑制すると、状況に応じて行動を切り替えることができるようになると発表
した。
行動の切り替えに障害があるとされる統合失調症や認知症の治療に応用が期待
されている。
脳中心部の神経細胞が集まる線条体にあるアセチルコリン神経細胞には、
記憶や学習の機能を促進することが分かっていたが、機能を抑制する働きも
あることが新たに判明した。
研究チームは、線条体でアセチルコリンを作れなくしたラットと通常の
ラットを比較。
同じ方向に餌がある迷路に8日間入れ、方向を覚えたら餌を逆方向に置き
換える実験を行った。
その結果、アセチルコリン神経細胞を除去したラットの方が、正常なラット
より経路を早く把握することが分かった。
また、アセチルコリンによる神経伝達を媒介する受容体を特定し、その機能を
抑制した場合でもアセチルコリン神経細胞を除去した時と同様の結果を得る
ことができた。
今回の研究で、アセチルコリン神経細胞の機能を抑制すれば、より早く行動の
切り替えを促すことが明らかになり、小林教授は「脳神経疾患の治療薬開発に
つながることを期待している」と話している。
研究は広島大や愛媛大と共同で行い、6日の英科学誌ネイチャーコミュニ
ケーションズ電子版に掲載された。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201405/20140513_63006.html