本当は怖い咳:アクネ菌とサルコイドーシス | アクティブエイジング アンチエイジング
最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学

テーマ: 『本当は怖い咳~静かなる影の使者~』


S・Hさん(男性)/48歳(発症当時)  サラリーマン

持ち回りで務める、マンションの管理組合の理事長に選ばれてしまったS・H
さん。
責任感の強い彼は、就任早々、引き継がれたマンションの問題点を洗い出し
行動開始。
問題のある住民と直接交渉しながらトラブル処理に奔走していましたが、
3ヵ月後、突然、乾いた咳が止まらなくなります。
「風邪でもなさそうなのに変だ・・・」とは思ったものの、特に気に留める
ことはなかったS・Hさん。
しかし、その咳こそ彼の体に巣食った、悪魔からの最初の警告でした。


<症状>
(1)乾いた咳
(2)霧がかかったように目がかすむ
(3)腕に赤いしこり
(4)足に赤いしこり
(5)心臓が苦しくなる



<病名>サルコイドーシス



<なぜ、咳からサルコイドーシスに?>
「サルコイドーシス」とは、爪と髪の毛を除いて、体のあらゆる場所に
肉芽腫という腫れ物ができ、様々な障害が生じる病。
特効薬がないため、厚生労働省により、難病に指定されています。
現在、およそ1万8千人の患者がいると言われるこの病。

まだはっきりとしたメカニズムは解明されていませんが、原因は、誰の体にも
いる菌で、にきびの原因菌として知られるアクネ菌だと言われています。


そんなありふれた菌ですが、実はこの菌、あることがきっかけで暴れ出すの
です。
あることとは・・・そう、ストレス。
急激なストレスを感じ、過労や不規則な生活に陥った人が発病しやすいと
言われています。
S・Hさんの場合も、ストレスを感じたことで、今まで身体の中でおとなしく
していたアクネ菌が増殖。
これを封じ込めようと、免疫細胞が取り囲むことで、肉芽腫という腫れ物が
出来上がってしまったのです。

その最初のサインが、あの乾いた咳でした。
サルコイドーシスの90%は、まず肺や、肺のリンパ節に発症します。
そのため、咳などの症状が、最初に現れるのです。

そして次に肉芽腫ができたのは、眼の中でした。
あの眼のかすみは、眼の中に腫れ物ができたことで、ブドウ膜が炎症を
起こしてしまったことが原因。

さらに、S・Hさんの場合、腕や足、そして、ついには心臓にも腫れ物が
できてしまいました。
その結果、心臓の機能が低下し、発作を起こしてしまったのです。


治療の甲斐あって、なんとか一命をとりとめたS・Hさん。
その後、理事長を辞退。
平穏な暮らしに戻ることができました。


サルコイドーシスは最悪の場合、死に至ることもある病。
だからこそ、1つ1つの小さな症状を見逃さず、早期発見することが最も大切
なのです。




http://asahi.co.jp/hospital/