認知症ケア:仏発祥「ユマニチュード」 優しさ伝える介護 | アクティブエイジング アンチエイジング
<認知症ケア>仏発祥「ユマニチュード」 優しさ伝える介護

(毎日新聞  2013年10月29日)


「ユマニチュード」と呼ばれる、フランスで生まれた認知症ケア(介護)が
最近、日本で注目され始めている。
暴れるなど介護が難しかった人も穏やかに受け入れるため「優しさを伝える
技術」とも言われる。

仏で講習を実施している協会の日本支部が来月、設立される。
離職率が高い介護現場の救世主となるか。
【銭場裕司】


ユマニチュード(Humanitude)は、人(humain)であることを尊重すると
いう意味の仏語の造語。

8月、生みの親で介護教育に長年携わるイブ・ジネストさん(60)を招いた
大規模な講習が東京都内の病院で開かれた。


看護師の関口冬子さん(28)が学んだ技術を使って、重い認知症がある女性
入院患者にシャワー浴を試みる。
以前は悲鳴を上げ拒むこともあったが、この日は終始穏やかなまま
「ありがとう」と感謝した。
かつてはベッドから立ち上がることも難しかったのに、そばにいたジネスト
さんとダンスまで踊り、周りを驚かせた。

女性を変えた「魔法」は何か。
関口さんはケアに入る前にベッドにいた女性に正面から近付き、目と目の
高さを合わせて見つめ、優しく体に触れた。
認知症で視野が狭まった女性を驚かせず、自分の存在を認識してもらう
ためだ。
シャワーの時も女性と向き合ったまま視線を外さない。「きれいな髪ですね」
と優しく言葉をかけ続けた。
体を洗うために触れる部位も事前に伝え、不安を感じさせないようにした。
関口さんは「患者さんの反応がまったく違った」と手応えを語った。

ジネストさんは「優しい人間になることは難しくても、優しさを伝える技術
なら習得できる」。

ケアが難しい患者に身体拘束や精神薬投与を行い「寝たきり」の状態を生んで
きた悪い流れを変えることもできる。
研修を受けた看護師の田村里佳さん(32)は「認知症の人への看護に悩んで
親友が看護師を辞めた。この技術があれば辞めなかったのではないか」と
語る。


ユマニチュードは、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)の本田
美和子医師が2年前に渡仏して学び、日本に持ち込んだ。

本田医師は来月、日本支部となる一般社団法人を設立し、準備が整い次第、
講習を受け付ける予定だ。
問い合わせは本田医師(honda‐1@umin.ac.jp)。



<ユマニチュード>
元体育教師で長年介護教育に携わるイブ・ジネスト氏とロゼット・
マレスコッティ氏(いずれもフランス人)が2000年ごろに確立した認知症の
高齢者向けケア(介護)。
患者に人として接するための150を超える技術がある。
看護師や介護士だけでなく、ケアを担う患者の家族にとっても有用だ。
フランスでは400以上の病院やケアホームで使われ、日本を含む計7カ国に
広がる。
英語読みは「ヒューマニチュード」。




http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131029-00000052-mai-soci