靴見て歩き方チェック すり減り方に偏り 重心傾く癖が | アクティブエイジング アンチエイジング
[靴見て歩き方チェック すり減り方に偏り 重心傾く癖が]

(東京新聞  2013年8月13日)


自分の靴をじっくり眺めたことがありますか?
歩く時に重心のかけ方が偏っていたり、足を大きくあおったりする癖が
あると、靴が内側や外側に傾いたり、靴底の一部が大きくすり減ったりする。
こうした歩き方を長年続けていると、膝や腰などに負担をかけ、痛みの原因に
なる。靴の状態をチェックして、正しい歩き方をマスターしよう。 
(伊東治子)


体の仕組みに合った無理のない歩き方を研究している帝京平成大教授
(スポーツ医学)で、整形外科医の渡会公治さんを訪ねた。


まずは記者が履いている靴を診断してもらった。
平らな場所に置いて後ろから見ると、右の靴が内側に大きく傾いている。
次に靴底を見ると、右側のかかとの内側がすり減っていた。
「過回内症候群だね」と渡会さん。

続いて靴下を脱いだ記者の足を見て「特に右足が過回内になって、土踏まずが
つぶれて扁平足になっている」。

過回内とは足を踏み出した時に膝は内側、爪先は外側を向き、足を大きく
あおりながら歩いている状態。
多くの人に見られる歩行の癖だという。

「正しい体重移動ができておらず、足や膝をひねったり、ねじったりして、
土踏まずをつぶすように歩いている。その結果、扁平足になり、ハイヒール
などの幅の狭い靴を履くと外反母趾になってしまう」


渡会さんによると、履き慣れた靴の底は、かかとの外側が左右均等に少しずつ
すり減っているのが理想的だ。
内側だけ、もしくは外側後方と内側前方がすり減っている場合は過回内で、
重心が内側にかかっていると考えられる。

このほか、靴底の外側や、指の周辺が大きくすり減るのも、重心が外側に
かかったり、足先で蹴ったりしながら歩く癖が付いている証拠。
左右ですり減り方に差があるのも、重心の取り方に問題がある。

「癖のある歩き方で体に負担をかけ続けると、年齢を問わず、足腰や背中の
痛みの原因となる。変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症などを引き起こす
恐れもある」と渡会さん。
将来、寝たきりにならないためにも、正しい歩き方を身に付けておく必要が
ある。



<改善にスクワット有効>
渡会さんによると、歩き方の基本は、足と膝の関節を同じ方向に曲げること。
そして、(1)かかと(2)足の中心(3)親指の付け根・親指の順番に、
「三拍子」で重心を移動させていく。

だが、身に付いた癖は簡単には直らない。
そこで、渡会さんが正しい足と膝の向きを体に覚え込ませるため考案したのが
「かべ体操コーナースクワット」=イラスト=だ。
ポイントは腰を下ろす時に、お尻と膝、足が壁から離れないようにすること。
膝が壁から離れてしまう場合は、手で膝を壁に押し付ける。体重が爪先や
かかとではなく、足裏の中心にかかるように注意する。
「足腰に痛みがある人は、膝を曲げる角度を浅くしてもいい。スクワットを
続けることで、痛みが軽減されてくる」
1セット5~6回で、渡会さんは「3食、寝る前、トイレのたび」を
合言葉に、1日に何セットもやることを勧めている。
2~3週間で正しい足と膝の向きが身に付くが、生活習慣に取り入れて継続
することで、足腰の筋力を維持できる。



図・イラストは、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013081302000160.html