世界では「最後の一手」が、日本では「最初の一手」 | アクティブエイジング アンチエイジング
[インド発の薬剤耐性遺伝子は怖いのか? ]

(朝日新聞  2010年8月24日)(高山義浩:感染症医)


(前半省略)

日本ほど抗生物質が乱用されている国も珍しいからかもしれませんね。
日本は医療費も安いし、使える薬もたくさんあります。

そうなるとですね、「効果は狭くても安い薬から」というインセンティブが
働きにくいんでしょうね。
最初から、がっちりカルバペネムを使うお医者さんが日本にはたくさん
います。
滅多に空振りしないので、患者さんからも感謝されます。


先日、私の長男が中耳炎になって、近所の耳鼻科の先生を受診しました。
もらってきた薬が、これが何とカルバペネムの内服薬でした。
「おぉ、5歳児にカルバペネムかぁ」と感動しました。
生来健康な幼児にだってカルバペネムから治療をはじめる。

世界では「最後の一手」かもしれませんが、日本では「最初の一手」という
のが実情です。

ですから、日本ではカルバペネム耐性がすでに拡がってるんです。
(J.Clin.Microbiol.34(12):2909,1996)


ランセットの論文を引用して、「いやぁインドは怖い。日本にも入って
こなければいいなぁ」と、あたかも自分たちが欧米側にいるように感想を
もたれた方がいるかもしれません。
でも、私たちが利用している日本の医療は、世界に耐性菌をばら撒きかねない
側にいるのですよ。



詳細は、
https://aspara.asahi.com/blog/border/entry/2zGKcCpH1E