福島・浜通りから:たぶん最高値と思える事例について | アクティブエイジング アンチエイジング
[福島・浜通りから:たぶん最高値と思える事例について]

(朝日新聞  2012年8月4日)(坪倉正治先生)


前回のブログでご紹介しましたように、ほとんどの子供で検出が無くなって
きています。
成人での検出率も下がり傾向です。
これら自体は喜ばしいことなのですが、気をつけなければならない事例も散見
されます。



とある70歳代の男性がWBC(白血球)検診を受診しました。
結果はセシウム134と137あわせて約20,000Bq(!)/bodyという結果で
した。
2012年7月時での検査にも関わらず、です。

奥様も一緒に受診されました。
結果は合計で約10,000Bq/bodyという結果でした。
体重あたりに直しても、300Bq/kgとなります。

いくつかの病院での検査を拝見させていただいておりますが、今まで私が
日本で見たことある中で最高値。
ベラルーシなどの報告書で散見されるような値でもあります。


実はこの方は、とあるご夫婦からの紹介でした。
その2週間ほど前に別の夫婦が受診され、夫がセシウム合計14,000Bq/body、
奥様が8,000Bq/bodyぐらいだったのです。
食生活について聞いたところ、早期に出荷停止が決まった椎茸や、自身で
作ったり、近場で採取してきたりしたニラ、タケノコ、干し柿、ニンニク
などを毎日食べているということでした。

同じような食生活をしている友達がいるということで来てもらったのです。


今回はその4人で外来にいらっしゃいました。
非常に元気で活発に会話をするご夫婦たちでした。
外来というより、ほぼ雑談。30分ぐらいみんなで話をしていました。
上記に列挙したものに加えて、干し柿を500個つくって、100個は食べた。
という話や、フキ、たらの芽、くりなども頻繁に食べているということで
した。

一言で言えば、強く汚染されているかもしれない(報告値が高い)食べ物を
未検査で食べ続けている、ということになります。


同じことの繰り返しになりますが、非流通品で、検査をされていない食べ物は
気をつけないといけないと思います。
よく食べるもの、好物、高い値が報告されているものは、特にです。

もちろん、今のところスーパーで出回っているものを選んでいるご家庭での
内部被曝が増加傾向ではありませんし、地元の野菜を食べていても、検査を
しっかり行った後のものばかりを摂取している方での増加傾向もありません。

子供の99.9%程度は検出限界以下におさまっていますし、今回のような事例は
今まで行ってきた4~5万回の検査の中で数回ではあります。

ローカルな食物が安全かという情報がうまく共有されていないことを感じ
ます。


このご夫婦たちは原木シイタケをよく食べていました。
その地域では出荷制限もすぐにかかっていて、明らかに高いことが予想される
ものです。
このご夫婦も一般的にシイタケが高くなる可能性があることは認識して
いました。
しかし大丈夫と思って食べていました。

大分前に一度この辺りのシイタケは問題ないと聞いていたからです(情報の
ソースは不明です)。


食品の検査の継続と、ローカルな検査結果の共有、情報発信を続けることが
大切だと思います。


ちなみにもってきてもらった椎茸を計測すると、セシウム合計で10,000Bq/kg
を超えていました。
よく食べているということなら、20,000Bq/bodyというのは十分にあり得る
値です。
写真はその際のキノコを計測した結果です。



写真、その他詳細は、
https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/TFKaiDii52