[病院の3分の2、終末期医療の指針使わず 全日本病院協会]
(日経新聞 20125月16日)
全国の病院の3分の2が終末期医療に関するガイドラインを使っていない
ことが社団法人「全日本病院協会」(東京)の調査で分かった。
ガイドラインは厚生労働省や医師会などが作成しており、延命治療を中止する
際などの手続きを定めている。
これらに基づかない場合、患者側の意思が十分に尊重されない恐れがあり、
同協会は「利用率を上げる必要がある」と指摘している。
調査は昨年10月、病院、介護老人福祉施設、訪問看護ステーションなど、
全国の7,184施設を対象に実施し、27%にあたる1,941施設が回答した。
施設職員と患者の家族も調査し、それぞれ7,869人(回収率22%)と5,215人
(同15%)から回答を得た。
終末期医療に関するガイドラインの使用状況を聞いたところ、「利用して
いる」と答えた病院は33.3%。
内訳は、病院が独自に作成したものが16.4%で最も多く、厚労省と日本
医師会が作ったものはそれぞれ4.9%と6.4%だった。
病院の66.7%、介護保険施設の47.2%、グループホームの52.5%、訪問看護
ステーションの63.9%では使っていなかった。
「ガイドラインは必要か」との問いには、全体の約7割の施設が「あった方が
いい」と回答した。
必要性が認識されながら、導入が進んでいない実態が浮かんだ。
ガイドラインは、厚労省と日本医師会のほか、全日本病院協会や日本救急
医学会なども作成している。
施設の職員を対象にした調査では、全体の7割以上がこれらの内容などに
ついて、「知っているものは特にない」と答えた。
職種別では、介護職82.6%、看護師72.2%、医師49.5%などだった。
患者の家族に対する調査では、本人の意思を生前に書面化する「リビング
ウィル」について、約7割が「聞いたことがない」と回答した。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E3E2E6848DE3E4E2E7E0E2E3E09180EAE2E2E2;at=ALL