[「死んでたまるか!」掌蹠膿疱症性骨関節炎]
(奈美悦子 - @nifty)
(発売日: 2005年4月、出版社: 主婦と生活社)
「私を殺して!」
あまりの激痛に自殺まで望む、これまで不治の難病とされてきた「掌蹠
膿疱症性骨関節炎」の闘病生活を克明に綴った、女優の奈美悦子の著書
「死んでたまるか!」(主婦と生活社刊)が発売された。
この聞きなれない「掌蹠膿疱症性骨関節炎」という病気は、手のひら(掌)と
足の裏(蹠)に、ニキビのような膿を持った膿疱が現れ、見るのもおぞましい
ほど、手と足全体に広がるのが特徴だ。
さらに、恐ろしいのは症状が進行すると全身の骨が石灰化し破壊が進み、
ナイフが突き刺さるような激痛が身体中を襲ってくること。
そのまま、有効な治療をしないまま放置してしまうと、ついには首から骨盤
まで背骨が竹の節ように関節が固まってしまい、骨は棒のように曲げることも
伸ばすこともできず、最終的には車椅子の生活になってしまう恐ろしい病
なのだ。
奈美さんは、昨年の1月に手のひらの膿疱に気付き、それから1ヶ月足らずで
原因不明の激痛に襲われたという。
「朝ベッドで起きたら、突然鎖骨に鋭利なナイフが突き刺ささったような
激痛が走ったんです。本当にナイフが刺さっていると思って手で胸の周囲を
まさぐり探したほどでした」と、当時の激痛を生々しく語る。
あまりの激痛に、救急外来へ飛び込むが、痛みの原因は不明のまま不安を
抱えて帰宅してきた。
一過性の痛みだったかと思っていた奈美さんだったが、その願いも空しく、
それからというもの痛みは全身に広がり、痛みの強さも日増しになって
いった。
「以前、自宅の階段から足を踏み外して背骨を骨折しても仕事をキャンセル
しなかった私が、この病気になって初めてキャンセルする屈辱を味わったん
です。それほど、限界を超える痛みが24時間毎日毎日続いていました」
この病気の激痛は、この病にかかった人でなければわからないと言われる
ほど、その痛みは極限に達する。
しかも、1年365日、24時間激痛に襲われる。
少しの寝返りでも激痛が襲うため睡眠障害にも悩まされ、多くの患者が
精神的にも肉体的にも極限状態に追い詰められるのだ。
実際、この病気に悩む大半の人が自殺か安楽死を考えたことがあり、不幸にも
自らの命を絶ってしまった人も珍しくない。
「私の場合、自殺は考えられなかったけど、あんなに怖かった飛行機が全然
怖くなくなったんです。だって、飛行機で墜落したら楽に死ねる、と思える
くらい日々の激痛が過酷でした。毎日、死ねば楽になれると思いましたから」
また、この掌蹠膿疱症性骨関節炎の膿疱が手足のみならず、胴体や性器へ
飛び火するケースもあり、それが原因で離婚する夫婦もある。
「夫にいくら自分は浮気などしていないと言っても、性器のおできを見て、
絶対に変な病気をうつされたと言って聞き入れてもらえず、一方的に離婚
させられました」(30代女性)という悲劇を招く例も少なくないのだ。
これほど、患者にとって重篤な症状がありながら、驚くことに「掌蹠膿疱
症性骨関節炎」という病名すら知らない、医療関係者が多いのが、さらに
この病気の悲劇を増大させている。
「今回、この病気になって通った全国の病院や診療所は診察券でトランプが
できるほどの数です。整形外科、循環器科、内科、心療内科、ペイン
クリニック、耳鼻咽喉科、脳神経科、皮膚科、歯科等々どこへ行っても、
全身の痛みと手足の膿疱の原因は『わかりません』『原因が考えられない』と
いう返事で挙句の果てに『どうしてでしょうかね』と患者の私の聞く無知な
医者も1人や2人ではなくて唖然としました」と、憤りを超して呆れ果てる
奈美さん。
これまで、医師が虎の巻としてきた医療辞典には、掌蹠膿疱症性骨関節炎の
原因は扁桃腺炎、または金歯などの金属アレルギーが原因とされ、治療は対処
療法のステロイド剤の塗り薬が一般的で、 “根治”は困難とされてきた。
ところが、この掌蹠膿疱症性骨関節炎に対して、全国でただ1人だけ
免疫学的な側面から研究を重ねて、代謝異常によって発病するメカニズムを
発見した医師が秋田県の本荘市にいたのだ。
現在、本荘第一病院の免疫内科に勤務する前橋賢医師がその人で、奈美さんの
主治医でもある。
「前橋先生に巡り会えなかったら、いま芸能界で仕事を続けていられなかった
かもしれない」と、奈美さんが言う。
全国の掌蹠膿疱症性骨関節炎で苦しむ患者にとって、前橋医師は救世主と
言っても過言ではないだろう。
「この『掌蹠膿疱症性骨関節炎』は体内のビオチン(ビタミンH)の欠乏に
よる代謝異常によって発症する病気だということを発見しました。これは、
日本の食生活の西洋化とも密接に関係しています。つまり、あらたな生活
習慣病として若い世代にも増加傾向にあります」と、前橋医師は警告する。
日本の食生活は、戦後急速に動物性の油脂を多用するメニューを美徳として
きた。
「その結果、体内の脂肪酸の代謝に障害が生じ免疫機能に異常を起こし
掌蹠膿疱症性骨関節炎を発症しているのです。欧米諸国に多い乾癬も同じ
原因で発症します」と、キッパリ。
今年1月、前橋医師の治療の甲斐あって、1年ぶりに快癒に向かった奈美
さんが、カミングアウトの記者会見をした直後から、秋田の前橋医師を訪れる
患者が爆発的に急増している。
1日に100人を超える新患申し込みが殺到し、急きょ本荘第一病院では、
月・火曜日のみ新患受付となっている。
ところが、ひとり診療に孤軍奮闘してきた前橋医師が過労のため緊急入院と
なってしまった。
現在のところ6月には診療を再開する予定になっている。
前橋医師の説明では、一般的に1,000に1人の発症率と言われていた掌蹠
膿疱症性骨関節炎だったが、最近の調査結果から、日本人の200~300人に
1人の高い割合で発症していることがわかってきている。
まさに、年齢を超えた新たな“生活習慣病”としてクローズアップされている
恐ろしい病気といえる。
「今回の本を書いた理由は、原因不明と言われて苦しんでいる人たちに、必ず
治ることを伝えたかった」と完全快癒を前に奈美さんは語る。
詳細は、
http://homepage2.nifty.com/taisuke/namietsuko.html
--------------------------------------------------
診療項目別サイト「yokoyama-dental.info」
症状別サイト「yokoyama-dental.jp」
--------------------------------------------------