頚動脈狭窄症 | アクティブエイジング アンチエイジング
最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学


『本当は怖い立ちくらみ~悪魔の騙しうち~』

I・Tさん(男性)/51歳(当時)  建設会社社長

小さな建設会社を営むI・Tさんは、この道一筋35年、頑固一徹な職人気質の
持ち主。
50歳を過ぎても、健康そのものでしたが、ある晩、不意の立ちくらみに襲われ
ました。
立ちくらみは、ほんの数秒間だったため、気にも留めなかったI・Tさん。
しかし、実はその立ちくらみこそ、彼の身体を蝕む病魔の産声でした。
その後、新たな異変が次々とその身に降りかかります。


<症状>
(1)立ちくらみ
(2)片目の視力が落ちる
(3)蒸気機関車のような耳鳴り
(4)片手の力が抜ける
(5)右半身麻痺


<病名>頚動脈狭窄症


<なぜ、立ちくらみから頚動脈狭窄症に?>
「頚動脈狭窄症」とは、脳に血液を送る頚動脈が動脈硬化のため狭くなって
しまう病。
血管がほとんど塞がれて、脳に十分な血液が行き渡らなくなり、様々な症状を
引き起こします。

I・Tさんが頚動脈狭窄症になってしまった最大の原因は、食生活と高血圧に
ありました。
彼の場合、頚動脈の狭窄は、首の横の動脈の分岐点で起きていました。
ここは血流が渦巻きやすく、血管の壁が最も圧力を受ける場所。
そのため血圧の高いI・Tさんは、その圧力で血管壁を壊してしまったのです。
おまけに彼は、日頃から肉類や油っこいものが大好き。
その結果、血液中には大量のコレステロールが溢れ、それが壊れた血管壁の
隙間から次々と進入。
徐々に血管の壁を膨らませ、ついには動脈硬化を招いていたのです。


最初にI・Tさんを襲った「立ちくらみ」や「片側の視力の低下」といった
症状はすべて、頚動脈が狭くなり、脳に充分な血液が送られなくなったため
起きたものでした。


あの「蒸気機関車の音のような耳鳴り」は、狭い頚動脈の中を無理に血液が
流れたため、隙間風のような音が発生。
それが、耳鳴りとして聞こえたのです。


そしてついに最終警告。
それが片手の力が抜けるという症状。
あの時、I・Tさんの頚動脈では、血管壁が壊れ、血栓ができていました。
その小さな血栓がはがれ、血流に乗って脳の細い血管に詰まることで、脳が
一時的な酸素不足状態に。
そして片手が麻痺してしまったのです。
これは「一過性脳虚血発作」と呼ばれる症状。
片方の手がしびれる、ろれつが回らない、などの症状が数分から数時間続き、
すぐに消えてしまうのが特徴です。

I・Tさんも症状が間もなく消えたため、すぐに病院へは行きませんでした。
これこそが最大の落とし穴。

実は一過性脳虚血発作のあと、数時間から1カ月以内に脳梗塞が起こる場合が
多いのです。

あの夜、I・Tさんの頚動脈からはがれた大きな血栓が脳の太い血管を
詰まらせ、大規模な脳梗塞を起こしていたのです。


幸い、I・Tさんは一命をとりとめましたが、強い後遺症が残り、リハビリの
生活を余儀なくされています。


現在、脳梗塞による年間死亡数は、およそ9万人。
その1割が、頚動脈狭窄症によるものと言われています。
そして今後は、食生活の欧米化に伴い、さらに増えると考えられているの
です。


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