最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ: 『本当は怖い喉のつまり~戦慄の不協和音~』
O・Mさん(男性)/45歳(当時) 会社員(大手自動車メーカー勤務)
真面目な仕事ぶりが評価され、経理部の課長に昇進したO・Mさん。
責任ある役職に張り切っていたが、現実は上司と部下との狭間で苦悩する
中間管理職。
しかも、家庭でも妻との折り合いが悪く、心底くつろぐことができなかった。
そんなある日、軽く喉がつまる感じを覚えたO・Mさん。
実はそれこそ、激震の前触れだった。
<症状>
(1)喉のつまり
(2)吐き気
(3)動悸
(4)めまい
(5)一瞬意識を失う
(6)ゴルフのパッティングの時に、突然倒れ死亡
<病名>心室細動
<なぜ、喉のつまりから心室細動に?>
「心室細動」とは、心臓の下半分を占める心室が痙攣して血液が送り出され
なくなり、死に至る病。
O・Mさんの場合、その原因は思わぬところにありました。
過度のストレスです。
昇進による新しい人間関係とハードな仕事。
さらに家庭でも安らぎを得ることができず、たまる一方だったストレスが、
彼の心臓に大きなダメージを与えていたのです。
そもそも心臓は脳からの命令が心臓の「洞結節」という場所に伝えられ、
電気刺激が発生。
これによって規則的に収縮し、一定のリズムで動いています。
しかし、O・Mさんのように極度にストレスがたまると、脳からの命令が
異常をきたし、「洞結節」以外の場所からも電気刺激が発生。
心拍のリズムが不規則になってしまいます。
これがいわゆる「不整脈」。
全ての症状は、この「不整脈」が原因でした。
最初にO・Mさんを襲った「喉のつまり」や「吐き気」は、心臓のリズムが
乱れることで発生した胸の不快感。
「動悸」もまた、不整脈の典型的な症状でした。
さらにストレスを解消しようとO・Mさんが頻繁に吸っていたタバコは心臓の
血管を狭くし、不整脈を悪化させていきました。
そしてO・Mさんに現れた「めまい」の症状。
これは積み重なるストレスにより心臓に異常な電気刺激が200回以上も発生
したため、心臓が血液をうまく送り出すことができず、脳が一時的に酸素
不足の状態になったのが原因でした。
会議中「一時的に意識を失った」のも、実は脳の一時的な酸素不足が引き
起こした“失神”だったのです。
さらに残業続きの疲れた体で、接待ゴルフに出かけた朝。極度の緊張を強い
られるパッティングに集中した瞬間、またもや不整脈が発生。
しかもこの時は発作がなかなか止まらず、ついに心室が激しく痙攣し始め
ました。
この状態こそ「心室細動」でした。
心室細動が起きると、心臓から血液が全く送り出されなくなり、意識を失い
ます。
そして、その状態が3分以上続いたため、O・Mさんは命を失ってしまったの
です。
実は、朝早く、疲れた体で極度の緊張をともなう運動をすることは、死に直結
する心室細動をもっとも起こしやすい条件なのです。
実際、朝のゴルフ場で突然死を遂げるケースが多発しているのです。
現在、日本では成人の2人に1人が不整脈を持っており、そのうちの1割が
治療の必要がある不整脈だと考えられています。
そして、その不整脈を悪化させる最大の原因が他でもないストレスなのです。
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