笛子はこれからも生きつづけなければならないのだ。生きつづける者はいつでもいそがしい。いつでも用事に追われつづける。

 1945年7月6日深夜から7日未明にかけて、甲府市内は空襲で火の海なった。

1000人以上が死亡、市街地の70%以上が焼失した。火に追われた市民に、作家・太宰治とその妻の美知子、長女と長男もいた。あれから3年後、太宰は東京・三鷹市の玉川上水で女性と入水死、残された妻は夫について家では殆ど語らず、当時1歳の次女だった津島佑子に父の記憶はなかった。

 ということで、父の面影をたどって甲府市内を旅することにしましょう。

 

JR中央本線甲府駅を降りると、出迎えてくれるのが武田信玄公像です。この像は、信玄の命日である1969年4月12日に建てられました。高さは約3mです。

近くにあるのが、甲府城跡のある舞鶴城公園です。甲府城は、武田氏滅亡後、豊臣秀吉の命により築城されました。石垣や堀の遺構、復元された櫓や門があります。

 

その次に訪れたのが、芸術の森公園です。園内には随所に彫刻が配置され、バラ園やボタン園などもあります。この中には、山梨県立文学館と美術館もあります。

さらに駅の反対側に行くとあるのが、妻の美知子の実家である石原家があった場所や「喜久乃湯温泉」という太宰ゆかりの銭湯や御崎神社、太宰治が新婚時代に新居を構えた跡である「太宰治僑居跡碑」などの場所があります。ここで一服して

 甲府のご当地グルメとして知られるのが「甲府鳥もつ煮」です。このもつ煮は、1950年頃に奥藤本店(☎055ー222ー0910)で誕生しました。新鮮な鳥のレバー、ハツ、砂肝、玉道を砂糖と醤油の甘辛いタレで味付けしています。甲府駅前店にもありますので味わって見てください。少し足を伸ばして見ましょう。

 

信玄公の墓所があるのが「武田神社」です。武田氏の居館である躑躅ヶ崎館跡(つつじがさきやかたあと)に建てられました。太宰は境内の桜と例祭について、「春昼」という作品に残しています。また、信玄の隠し湯とされるのが「湯村温泉郷」です。

ここには、太宰が執筆のために滞在した「旅館明治」や富士山や市内を一望できる「湯村山城跡」などがあります。井伏鱒二らの文化人にも愛された温泉です。