ジョン・カーペンターの傑作「マウス・オブ・マッドネス」である。
1994年の東京ファンタスティック映画祭でのワールドプレミアで観た。
ホラーでありながらその内容に感動し、通常の公開にも劇場に足を運んだ。
クトゥルー神話(僕は読んだことがない)を下敷きにしたホラーで、
読者の精神に異常をきたさせるホラー作家の失踪を追う
腕利きの保険調査員が味わう狂気の物語である。
映画の中の世界が狂ってしまったのか、
主人公が狂ってしまったのか、
見ている我々が狂ってしまったのか…
いろんなところにギミックが仕込まれている。
劇中ホラー作家の好きな色「青色」に
世界がなってしまうシーンがあるのだが、
オープニングタイトルの色が青色である。
ネタバレになってしまうが、ラスト、
劇場で主人公が見ている劇中映画は、
我々が観ている「マウス・オブ・マッドネス」そのものなのである。
「トータル・リコール」もそんな感じのギミックがある。
ラストの「火星の青い空」はそういうことだったのだろう。
同様なメタギミックが仕込まれていると勘違いしてしまいがちなのが、
以前紹介した「世界の終わり」
である。
観た人間の精神に影響を与える映画ということなのだが、
そこに映る内容が問題なのではなく、
その映像が見る人間によって違うのである。
「マウス・オブ・マッドネス」のように、世界中に魔物が復活するような話ではなく、
個人の贖罪から自らを傷つけてしまうというようなもので、
その映画の内容云々ではないのである。
閑話休題。
アメリカ本国、日本では興行的に振るわなかったが
ヨーロッパで、特にスペインではロングラン上映されたという。
残念ながらDVDは廃盤になってしまっていて
少しプレミアが付いている。レンタルで置いているところも少ないのだが
機会があれば是非御覧いただきたい。
ボディブローのようにあとから効いてくる恐怖を味わえる。
あと子役で、アナキン・スカイウォーカーで有名な
ヘイデン・クリステンセンが出ている。