「日本が無駄にした資本」

 

皆さま、明けましておめでとうございます。

昨年末の元日産社長カルロス・ゴーン氏日本脱出のニュースのおかげで一抹のもやもや感が漂うお正月となってしまいました。

 

ゴーン氏はベルサイユ宮殿の結婚式やらクルーザーやらに日産の資金を流用した疑いや中東の代理店への販売奨励金を還流させて会社に損失を与えた容疑をかけられているわけですが、日本の大企業の経営者の中には会社に巨大な損失を与えるケースもあります。

 

それはM&Aの失敗です。

 

キリンビールは2007年に豪州ナショナルフーズ社を2900億円、2008年には同じく豪州のデアリーファーマーズ社を840億円で買収しオセアニアから東南アジア圏までを含む商圏での事業拡大を目指しましたが、困難な経営状況が続き、株式の減損処理を続けた挙句、昨年末中国の会社に456億円でようやく売却しました。

 

キリンはブラジル事業でも大失敗しています。2011年にブラジルのビール会社スキンカリオール社を3000億円で買収したのち現地での経営に失敗した挙句2017年にハイネケンにブラジル事業を770億円で譲渡しました。

 

日本郵政は国際的な物流事業の構築に向けた投資として2015年豪州の物流会社トールホールディングスを6200億円で買収しましたが2017年度に4000億円の減損処理を実施しています。

 

業績が好調なせいで見落とされがちですがNTTドコモは2001年にアメリカの通信大手AT&Tワイヤレスの16%出資に11425億円を投じましたが2004年に6950億円で売却しました。

 

東芝は2006年に原子力発電事業会社ウェスチングハウスを6400億円で買収しましたがのちの東芝崩壊を招く原因となったことは記憶に新しいところです。

 

このような数千億に上る損失を導いた経営陣は任期を終えると円満に退職金をもらったうえ顧問として会社に残り後継者に影響力を行使するのが典型的なケースです。

 

この泡と消えた資金をもしGAFAの株式にでも投資していたら従業員の年金の巨大な原資とすることもできたでしょう。投資せずにキャッシュで取っておいても十分です。

 

こういった失敗はどこに原因があるのでしょうか?

 

まず、株式等に投資する財テクはバブル時代に懲りて実行しにくいが、本業を国外に展開するなら銀行も金を貸すし取締役会も通りやすいという構図です。

 

取締役会にも経営陣にズケズケものをいうメンバーはほとんどいないのではないでしょうか。

 

おそらく仲介役の投資銀行には買収後の経営予測のグラフでも見せられ、社史に残る偉業となるはずとおだてられ、絵に描いた餅に飛びついてしまうのでしょう。

 

経営陣の中に国際的な経営経験者が十分に揃っていないにもかかわらず、海外企業を買収してコントロールできると錯覚してしまうのかもしれません。

 

企業買収に限らず不動産売買にも通じることですが「売り手はどんな理由で売るのかを考えろ」ということを改めて肝に銘じたいと思います。

 

株式会社アクティオ

代表取締役 遠藤薫

 

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