相楽信頼インタビュー



最終回となります。


「辞めよう」とも思った役者業。


それでも続けた、のぶさんが考えるアクト青山とは…?




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でも『海猫は泣いている』での舞台の僕は、ファンの方からもとても好評で。何回も観にきてくれたお客さんもいました。


『新しい相楽信頼を見たな』という気持ちになってくれたのではないでしょうか。

その経験も、アクト青山をやめなかったからこそできたことですよね。

 

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――諦めなかったことで素晴らしい結果を出せたのですね。アクト青山の教室に通っていて、印象に残った出来事はありますか。

 


相楽:

感動することに出会ったりすることを『景色が変わる』って表現するじゃないですか。

僕はそれを、あくまで例え話でしょって思っていたんです。


それに関して、ワークショップで小西さんに言われたことがあって。


「役者にとって大切なのは日々感動すること。たとえば君は、電車に乗っていて、窓から沈みゆく夕日を見た時に泣くことができるか?自分はできる」と。


「ただ夕日を見るだけではなく、夕日を見たときに、人間の中にある感情を出す・・・・・・感情生活というものをしてほしい」ということだったんです。


普段何気なく歩いている景色でも、視点を変えれば、感動することはできるんです。

その日のワークショップの帰り道は『ただの道がこんなに輝いているなんて!!』と思いました。物を見る視点が変わったんですね。


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今までは見過ごしていた景色に、こんなに感動するものが転がっていたとは、と衝撃を受けて。


こんなように新しい自分に会っていきたくなったから、アクト青山に通い続けたいと思いました。


アクト青山に入って、僕は三回生まれ変わりましたね。

最初はワークショップで。二回目は『同志の人々』で。三回目は『かもめ』です。

 

 

――生まれ変わることまでができるアクト青山ですが、アクト青山の強みはなんですか。

 


相楽:

教室で得た経験を舞台で実践できるということは、アクト青山の強みですね。


教室だけなら教室、舞台に立つだけなら立つだけ、というところも多いです。

アクト青山の場合は、木曜教室とか日曜教室といった、養成機関もある中、舞台に立ちたい人は、実際に立つことができるということが素晴らしいんですよ。


ただ通わせるではなく、主宰の小西さんが、一人一人を見てくれていることも大きいです。


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将来的に役者としてお金を稼げる人間を育ててくれているんですね。


人間として見てくれて、チャンスを与えてくれるところは、僕はアクト青山しか知らないです。


これは一番言いたいことなのですが、僕はこれからもアクト青山で勉強をしたいですし、舞台に立ちたいですね。

 

 

――素敵なお話ですね。アクト青山は稽古場と舞台がセットになっていますが、それも活動する上で役立ちますか。

 

相楽:

稽古場と舞台がセットになっているということは、とても大きいと思います。


各々が抱えている戯曲の自主稽古を、教室がないときも本番に近い形で稽古場ですることができますからね。


照明も使えて、衣装・小道具の借入れも可能です。

とりあえず発声練習をしようと思って、アクト青山にくる人もいますし。

いい意味でアクト青山を利用できれば、自分のステップアップができるのではないでしょうか。


ちなみに、アクト青山で学びながら、外部の舞台にも出ることも、もちろん可能です。

アクト青山に所属していても、他で活動することは特に問題ないんです。


演劇をしたいという方は、アクト青山を選択肢の一つに入れておくことで、活動の幅も、表現の幅も広がりますね。メリットだらけです。

 

 

――メリットだらけということですが、アクト青山に入ることは、ハードルは高くありませんか。

 


相楽:

色々な人がいますから、ハードルは高くありません。


学校の先生で、演劇部の顧問なので、生徒に演劇の指導ができるようになりたいから、という理由で活動されている人もいました。

単純に興味があったから、舞台を観て気になったから、そんな感じで見学にきた人もいます。


小西さんは、とにかく個人を見て教えてくれる人だから、全くの素人でも問題ないですね。はじめは誰でも素人ですし。


それに、入るにあたって、年齢制限があったり、経験が必須とか、そういった条件は全くないですから。

今は60歳過ぎの人もいますし、前は小学生もいましたよ。


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(日曜教室)


どんな年齢の方がいらしても、頑張りたいという気持ちさえあれば大丈夫です。

スタート地点がアクト青山、となるだけですね。


心構えは必要かもしれませんが、それも、活動していくうちに自然にそなわっていくものだと思います。

ターニングポイントを踏んで、人それぞれ、声優としてやっていきたい、役者としてやっていきたい、といった方向性が見つかっていくので。


心構えは入ってから見つけていけばいい。アクト青山はそういう場で、これからも変わらないですね。

 

 

――入所のハードルは高くないのですね。稽古のスケジュールはどういった形になりますか。

 


相楽:

大体半年間ぐらいで、週に一度です。


各々がその日その日に課題を得て、次の週までに自主稽古をするなりして課題を克服し、また新しい課題を得る、といった感じです。


演劇を体になじませる、落とし込ませる期間が半年間もあるのはありがたいことです。


タイトなスケジュールのお仕事も多いのですが、アクト青山は、タイトではないスケジュールです。


半年間様々なことを考えて、一人の人間としての役をつくるという、なかなか他の場所では得られない感覚を得られますね。

濃く、いい意味で苦しい、メリットのある半年間にできます。


半年間の経験で得たものが、何十年間も続くことになると思います。

 

 

――アクト青山で成長してこられた、相楽さんの今後の目標はなんですか。

 

相楽:

舞台役者として得る情報量と、声優として得る情報量は全く違ってくるのですが、僕は舞台での経験を声優としても活かしたいです。


『声優さんが舞台に立ってるね』ではなくて『役者・相楽信頼が舞台に出ている、声のお仕事をしているね』というように思ってもらいたいです。


声優と舞台俳優の垣根を取っ払いたいというのはあります。

“相楽信頼”として仕事をしたい。それが今の一番の目標です。


アクト青山のことを、世間に知られたい、世間に認められたいという気持ちもあります。


そのために劇団員がどうするべきか、所属している人間がどうしていくか、それぞれがステップアップしていく時期なんだろうと、小西さんのお話からは伝わってきます。


2018年から、アクト青山は大きく変わっていくと思います。

毎年毎年、新しい挑戦ができるという喜びはありますね。

これからアクト青山はどうなっていくのだろうという楽しい気持ちを持ちつつ、日々頑張っていきたいです。

 

 

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――アクト青山の先輩として、これからアクト青山に入ってくる人に向けて一言お願いします。

 

相楽:

アクト青山で、ずっと活動を続けていくにしろ、アクト青山を経て、次の場所に移動するとしても言えることなのですが。


何をするにしても、今後自分が生きていく中で、アクト青山で学んだことは、大事な場面ごとに自分を助けてくれることがあります。


とは難しいことを言ってみたものの、まずは気軽に入ってみて、自分のやりたいことを見つけるのがいいのではないかと思います。


入るといっても、兼業でOKですし、どういう立場の人が入っても、話が合う人はいるはずです。


アクト青山は、先輩と後輩の距離が近いですから。


僕は先輩の立場になりますが、毎週毎週、後輩が成長していくことを顕著に感じるようになってきました。

教室としてのレベルも上がっているし、アクト青山全体としてもステップアップしています。


「入るなら今でしょ!」といったところでしょうか(笑)。


早くこの感動を味わってほしいです。

 

――大変素晴らしいお話を、ありがとうございました。