こんな夢を見た。


目を開けるとがたごとと揺れる電車の中にいた。



端の方の座席に大人しく座りながら、
車内の対岸にある窓をぼんやりと眺めている。

窓から見える景色は、
まだ日が暮れてないからか見えはするが、
左から右へ流れていくその風景にどことなく見覚えはあるものの、
それがどこの景色かは思い出せない。

その時、
何となく、今乗っている車体はきっとオレンジ色に塗られているような気がした。


オレンジだと言うのなら、中央線だろう。




窓の外の景色に見覚えがあるのもそのせいだ。
そこまで合点が行ったところで、なんの妨げもなく、窓の外を見れる不思議に気がついた。

あれ、と思い改めて見てみると対岸の座席には誰も座っていない。
隣を見ても、誰もいないのであった。
うすら寒くなって何とはなしに立ってみたものの、電車の揺れに身を捕られ姿勢を崩してしまい、自然とまた元の席へ腰を落ち着けた。

座り直してみて、
座席はふかふかしてどことなく心地もいい。
電車の揺れで立っては居られなかったので、もう一度端の席に座りながら、
ぼんやりと窓の外を眺める姿勢へ還った。
そうしているうちに何分か経ったであろうけども、どこかの駅に着く気配はない。

快速ではなく特別快速なのだろう。

待っていれば何処かしらに着くであろうと思いながら、ふたたび窓の外を見た。
窓の外はだんだんと朱が差してきており、日暮れの近いことを思わせたが、
しかし、最初から朱味がかっていたような気もする。




何もかも判然としないまま座席の居心地の良さを楽しんでいると、
カツカツと靴の音を響かせながら、車掌が歩いてきた。
今のご時世に車掌とはおかしなものだと思ったけれど、
構うこともなかった。

車掌は目の前へ来ると、
「切符を。」
とだけ言った。

目深に制帽を被り、その顔は黒ずんで見れない。そう言えば袖も馬鹿に長い。
これは中央線じゃあなくて銀河鉄道だったのかと思っていると、
もう一度、
「切符を。」
と言われた。

慌てて懐やポケットを探した。切符は出てこなかった。

「切符がないなら、下車を。」
と車掌が言うなり電車は駅のホームに停車した。
ぷしゅう、と吹き出すような機械音のあと扉が独りでに開いたので、
追われるように足早に電車をあとにした。


閉まる扉の奥で車掌と目が合った気がして、手でも振ってくれればと思ったが、恥ずかしくなって俯いた。













と言う夢を見た

えーと、
『ぶらんこ』役、
桃木正尚でーす笑

(思索。)

変な企画でしたがお楽しみ頂けましたでしょうか笑

『ぶらんこ』は、夢の話をする話!
と言うことで、
本の夢の話が紡がれる文豪・夏目漱石の『夢十夜』からパクって、
ただただ夢の話をすると言う企画でしたが、
読んで頂けて、お暇潰しくらいになったのでしたら幸いです。

番まであとヶ月
来週はもうちょい普通のことをやるはずです笑

さてさて、
僕の夢はこんなのでしたが、
『ぶらんこ』ではどんな夢が見られるのか。
ぜひ、劇場でお確かめ下さい。

ではではー。



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演劇集団アクト青山
テアスタ(春)
『近代古典傑作短編選』
演出 小西優司
 
3月21日(水)〜25日(日)
 
3月21日(水)
『バイロン卿の恋文』
作 テネシー・ウィリアムズ
出演 竹田真季 中西彩乃 廣田明代 菊地正仁
13:00/16:00/19:30
 
3月22日(木)
『赦せない行為』
作 森本薫
出演 小此木富美子 佐古達哉
16:00/19:30
 
3月23日(金)
『宮城野』
作 矢代静一
出演 山辺恵 高村賢
16:00/19:30
 
3月24日(土)
『ぶらんこ』
作 岸田國士
出演 桃木正尚 蔭山みこ 小野晋太朗
16:00/19:30
 
3月25日(日)
『白鳥の歌』
作 A.P,チェーホフ
出演 小西優司 倉島聡
13:00/16:00/19:30
 
 
*開場は開演の30分前
*開演後のご入場はご遠慮頂いています
*開演は事情により5分程度遅れる場合があります
*『ぶらんこ』は本編中、喫煙シーンがあります
 
チケット料金 ¥1500(半券割有り〼)
 
チケット予約 カルテットオンライン
公演Twitter
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お問い合わせ先
engeki.act.aoyama@gmail.com
 
 
場所
演劇集団アクト青山アトリエ
世田谷区北烏山7-5-9
 
アクセス
京王線千歳烏山駅より徒歩20分
千歳烏山駅前より小田急バス「吉祥寺行き」にて「ときわ橋」下車1分。
吉祥寺駅より小田急バス「千歳烏山行き」にて「ときわ橋」下車1分。
 
 
近代古典戯曲の名作を、日替わりで上演致します。アクト青山が春に送る5つの物語。短編ならではの色濃く現れる作者の魅力を、是非アトリエで間近にお楽しみ下さい。