皆さんこんにちは!
毎週金曜日『宮城野』のお時間です。
お相手は、山辺恵です!
だんだんと暖かな日が増えてきた今日この頃。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
山辺は春の兆しを感じつつ
3月の本番が近づいている気配を感じつつ
動悸が激しくなる日々を
過ごしております。
と、いうわけで
ブログ企画3週目に突入いたしました。
今回は、『宮城野』における
2人の職業について
少し触れていこうと思います。
この戯曲のタイトルにもなっております
「宮城野」という女性は遊女でして
皆さんは遊女、と聞いて
どんなイメージをお持ちでしょう??
高級遊女である「花魁」
花魁は「位の高い遊女」なのですが、
実はこの言葉が使われ始めたのは18世紀の半ば以降からなんです。
元々は「太夫」と呼ばれていましたが、
見習いの少女が
「おいらんちの姐さん」
と呼んだことから
「おいらん」
になっていったそうな。
「花魁」と呼ばれる前は、城が傾くほどお金がかかるという事から「傾城」(けいせい)とよばれていたそう。
そんな遊女達のいる店が江戸時代は
そんじょそこらに点在していたわけで
治安の悪化や風紀の乱れ、
心配になりますよねそりゃあ。
そんなわけで、
徳川幕府が遊女という職業を認可して、
今の人形町あたりに場所を提供して
お店を一区画にまとめたのです。
これが江戸で初めての遊郭
「葭原遊郭」(よしわらゆうかく)でした。
これが、「明暦の大火」という
江戸の半分を焼き尽くした大火事で焼けて
浅草方面に移転し、日本一の花街と言われる
「吉原遊郭」として栄えたのです。
でもこれは、幕府公認の遊郭。
非公認の遊郭もありました。
それが、今回『宮城野』の舞台にもなっている
「岡場所」
根津神社の門前「根津」
赤坂氷川神社の門前「赤坂氷川」
両国回向院の門前「回向院前」
などが有名です。
非公認ではあるけれど、
吉原は辺鄙なところにあって、
遊女と遊ぶのにも形式があって
色々しなくちゃいけなくて
お金もすごくかかる。
それよりも、安くて市内にあるから行きやすい
そんなわけで、下級武士や庶民はこぞって
岡場所に通っていたそうな。
もちろん、
非公認なのだから取り締まらなきゃですが
町奉行も見て見ぬ振りをしていたそう。
岡場所の遊女は
20代半ばを過ぎた女性が大半だったそうで、
中には旦那に隠れてお金を稼ぐために
岡場所で遊女をしていた人もいたようです。
そこまでしないと生活できなかったんですね。
なんとまぁ。
花魁、遊女と聞くと華やかな印象ですが
そもそも、これらの遊女は
身売りされて、いやいや遊女になって
でもお金をどっさりと払われてしまってるから
働かなければいけない、自由になるにも働くか
お金持ちに身請けしてもらうしかない
なんとも悲しい身分の女性だったわけです。
働いて自由になろうにも、
そのために華やかな格好をしなければいけなくて
そのためにまた借金が増えるという
負のスパイラル
そして年期が明ける前に、
性病で死んでしまう女性がほとんどだったそうな
そんな悲しい女性達なのです。
とってもさらっと遊女についてお話しましたが
続いては、
「矢太郎」の職業
「浮世絵師」についてです!
浮世絵師って絵を描くんじゃないの?って思う方も多いと思います。
↑ご存知の方も多いハズ❗️歌川国芳の「相馬の古内裏」↑葛飾北斎
そもそも浮世絵師は浮世絵の版下絵の
制作や色指定の指示、監督をしていたそうです。
また、浮世絵(錦絵)制作は完全な分業制で制作過程は以下のようになります。
① 版元(出版社)は予算に見合った絵師、彫師、摺師に依頼
② 依頼を受けた絵師は、大体の構想を決めて、墨で輪郭線のみを描いた版下絵を制作
③ 版下絵は検閲を受け、改印が押されると彫師に渡す
④ 彫師は、出来上がった時に反転しないように版木を裏返しに貼り、その上から直接掘り始め、輪郭線のみの主版と呼ばれる版を制作
⑤ 主版を墨一色で10枚程刷った校合摺を受け取った絵師は、一色ごとにその色が刷られるべき箇所に色指定を行い、彫師に戻す
⑥ 彫師は、印を付けられた校合摺に従って、指定箇所以外の彫り除いた色版と呼ばれるものと、主版とを摺師に渡す
⑦ 摺師は見本刷りの段階で版元と絵師と協議してから本格的な刷りに入る。本刷りの際には絵師も立ち会う。
っとまぁ、このような流れになるわけです。
手間がかかりますねぇ(゚o゚;;
版元は、作品の企画及び制作資金をまかなう、まぁ今で言う総合プロデューサーのようなもので浮世絵はいくつかの工程を経て出来るものであり、絵師だけの技量で成り立つものではなかったそうです。
なので絵師の中には、彫師や摺師に対して細かく指示を出していた人もいたそうです。
また絵師の下絵は買取制であり、どんなにヒットしようと絵師には関係ありませんでした。
これはキツイですね、、生活出来ない。
それゆえ、かの有名な葛飾北斎は生活費を稼ぐために、春画(エロ絵)を制作していたのだそうです。
絵師は、版元(出版社)からの依頼により、下絵を描きます。ただ、何でも好きなものを描いてよいわけではなく、絵の内容に関してはきちんと版元の企画意図に沿ったものを描かなければなりませんでした。
描き方にも細かいルールがあったようで、例えば役者絵で3人横並びの絵を描く場合
「主役は必ず真ん中に配置しなければならない」
といったようにその役者の格や歌舞伎の演目内容に応じて、人物の配置から描く大きさ、着物の柄まで、きちんとルールに則って描き分けなければなりませんでした。
重要なのは、主導権を握るのはあくまで版元だということです。それに加えて検閲もありましたから、絵師の独断で勝手に出版できるようなものではなく、何を描いてもよいというものでもありませんでした。
ホント、世知辛いですね。
浮世絵が芸術品として評価される今では、絵師の存在がクローズアップされる事が多いですが、現代でいう絵画とは異なるものなので、あくまで協同作業による合作物ですから、絵師一人の力だけで作品化できるものでは決してなかったんです。
以下でしたでしょうか?2つの職業についてご理解頂けたでしょうか?
是非上演している中でも2人の事を感じて頂ければ嬉しいです😃
演劇集団アクト青山
テアスタ(春)
『近代古典傑作短編選』
演出 小西優司
3月21日(水)〜25日(日)
3月21日(水)
『バイロン卿の恋文』
作 テネシー・ウィリアムズ
出演 竹田真季 中西彩乃 廣田明代 菊地正仁
13:00/16:00/19:30
3月22日(木)
『赦せない行為』
作 森本薫
出演 小此木富美子 佐古達哉
16:00/19:30
3月23日(金)
『宮城野』
作 矢代静一
出演 山辺恵 高村賢
16:00/19:30
3月24日(土)
『ぶらんこ』
作 岸田國士
出演 桃木正尚 蔭山みこ 小野晋太朗
16:00/19:30
3月25日(日)
『白鳥の歌』
作 A.P,チェーホフ
出演 小西優司 倉島聡
13:00/16:00/19:30
*開場は開演の30分前
*開演後のご入場はご遠慮頂いています
*開演は事情により5分程度遅れる場合があります
*『ぶらんこ』は本編中、喫煙シーンがあります
チケット料金 ¥1500(半券割有り〼)
チケット予約 カルテットオンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/kessakutanpen
公演Twitter
https://mobile.twitter.com/3gatsuteastaact
演劇集団アクト青山活動ブログ
https://ameblo.jp/act-aoyama
お問い合わせ先
engeki.act.aoyama@gmail.com
場所
演劇集団アクト青山アトリエ
世田谷区北烏山7-5-9
アクセス
京王線千歳烏山駅より徒歩20分
千歳烏山駅前より小田急バス「吉祥寺行き」にて「ときわ橋」下車1分。
吉祥寺駅より小田急バス「千歳烏山行き」にて「ときわ橋」下車1分。
近代古典戯曲の名作を、日替わりで上演致します。アクト青山が春に送る5つの物語。短編ならではの色濃く現れる作者の魅力を、是非アトリエで間近にお楽しみ下さい。