皆様こんにちは。
いかがお過ごしでしょうか?
演劇集団アクト青山主宰の小西です。
でも、
友香ちゃんとは撮り忘れて怒られました。
ごめんなさい。
ごめーん!
初の試みだったし、僕の中でも「公演としての正解」が最後の最後まで出難くて結構行き詰まりましたが、なんとか終演しました。
朗読とは役者個人が、作家個人とトコトンまで闘うものだと思ってる僕にとって、みんなで読むとか、台本持って歩き回るとか、そういうお為ごかしをせずに、真っ向から文字と人と情景とに向き合う良い機会だったと思っています。
お客様からも、この狙いについて「良かった」という声をいただく事が多く、挑戦して良かったと、今、その思いを噛みしめています。
作品後期、という形では書く事があまり無いというか、僕は7人の作家と自分を含む14人の役者とこの数ヶ月向き合ってきて、小躍りするような嬉しい瞬間にも巡り合ったし、酷く落ち込むような残念な瞬間にも巡り会いました。お芝居だとパッケージされた作品の中をより良く生きる事がお仕事なのに比べたら朗読は「その人となり」なんで、様々な発見はもとより改めて知る側面にも巡り合いました。その中でも、例えば成長曲線や才能や出てる結果云々を度外視して僕個人が感銘を受けた作品をここに記しておきます。
一つ目は『花火』内田百閒を読んだ、寺井美聡です。まだ実力的には不安定ですが、現代的な素養とクラシックのエッセンスを混在させて、作品の最も難しい部分に指をかけて読めていたこと、本当に驚きました。彼女は今後、経験と自信を積めば素晴らしいアーティストとなるのではないかと感じました。
二つ目は『葬式の名人』川端康成を読んだ、宇土よしみです。僕は川端康成を「新感覚派」の大家と思っていて、ただ読むのでは決して表現できないある種の深部というのがあると感じてきたのですが、そこにハッキリとフックして朗読出来ていました。勿論、課題はあるものの、川端康成を読む、という難事に対して真摯に取り組む姿勢とその結果は賞賛に値すると感じました。
最後は『築地河岸』宮本百合子を読んだ、蔭山みこと岩崎友香です。先ず「宮本百合子を読むか?」で僕は非常に迷いました。当初、二人は与謝野晶子の『月夜』を読む予定でした。プロレタリアートを佐多稲子と共に読むことは、プロレタリアートを奨励しているように見えるのではないかという危惧と、宮本百合子の持つ「強さ」「女性らしさ」と解釈の難しさを体現できるか不安だったからです。杞憂でした(笑)蔭山も岩崎も現代っ子らしい屈託のなさと二人共の美しい声が宮本百合子をより宮本百合子らしく聞かせていたと感じました。
朗読には可能性があります。
無限の、人間の力を感じ、想う可能性があります。僕はそれをひしひしと感じました。
来年からは毎年春、その年の出演予定者を軒並み朗読会に登場させます。顔見世興行です。
役者というものを観てもらう絶好の機会として朗読会を続けます。そしてその中から精鋭を選りすぐり「朗読集団ツキヨミ」みたいなグループを結成して色んなとこで文学を読んで、沢山の人に楽しんでもらいたいと思っています。
演劇集団アクト青山はこれからも様々なジャンルと形式に真っ向から挑戦する劇団でいたいと心から感じた『春の朗読会』でした。
ご来場下さいましたお客様、
本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
出演者の皆様、
本当にお疲れ様でした。
スタッフも兼ねての公演で大変だっただろうと思います。また来年、朗読会で会いましょう。