春公演『三人姉妹』ヴェルシーニン役の小西です。

場面が成立していて、物語が進行していればそれでいい。
とは、どうしても思えない。

ご見物の興味は常に、
あの人は何であんな事をいうのか?
あの人は何で泣いてるのか?
あの人は今後どうなるのか?
という部分に必ず向けられている。
いや、それだけじゃない。
僕自身が一人のクリエイターとして、

何で?
なぜ?
どんな風に?
このあとは?

と、ご見物に考えて欲しい、想像して欲しいと望んでいる。

だから、押し付けがましいのでなく、想像するゆとりを残して、その幅の中で、連想が連想を生んで、物語は彩られて行って、クライマックスにたどり着きたい。

なぜ、イリーナは振り返らないか。
小間使いが見たものはなにか。
オリガが感じているのはなにか?

もちろん、説明できると思う。
セリフで。
でも、疲れる。
想像が、進行と一致すれば、そこには静かだけどたしかに感動がある。
僕はそんな風に信じている。
だから、いまみたいな作り方に挑戦している。
それは、難しい作業にちがいなくて、ただやって流しても結局は変わらない事なのかもしれないけど、そんなんじゃ名作を上演する意味なんかない。
大切なのはヒーローを生むような単純さじゃなくて、連動して連鎖して、連想して頂いて、クライマックスにたどり着きたいという事。

ちょっと月曜日の事は詳しく書けない。
今回公演の重要な部分が組み込まれていたし、大きな変更を余儀なくされるかもしれない。
どんな作品に向かう時もそうだけど、配役というのは個人の個性よりも、アンサンブルが生む化学反応の方が大切だからだ。
今回は今までで一番難しい。
間違いない。
佳境に入ったいま、誰がどれだけできるかは、非常に重要な事だ。

是非とも面白くしたい。
そのプランは整っている。

あとは、時間の中で解決するだけだ。