「かもめ」の稽古の帰り道、ふんわりふんわりと、沈丁花の匂いが漂ってきた。
沈丁花の匂いをかぐと、
東京へ出てきたばかりの頃の、高円寺の商店街や裏通りが目に浮かぶ。
意味もなくただぶらぶら歩きまわって、安い定食屋を探したり、古本屋をのぞいたりして一日を過ごした。
まだ大学は始まっておらず、友達もなく、四畳半のアパートには電話もテレビもなかった。それで、夜は銭湯に行くと、さっさと床に入った。
あの頃、どこにでも行けて、何にでもなれると思っていた。
あれから21年…
10歳も20歳も歳の離れた役者さんたちと一緒に舞台に立つこになるとは、あのころの私は夢にも思わなかった。
沈丁花の匂いをかぐと、
東京へ出てきたばかりの頃の、高円寺の商店街や裏通りが目に浮かぶ。
意味もなくただぶらぶら歩きまわって、安い定食屋を探したり、古本屋をのぞいたりして一日を過ごした。
まだ大学は始まっておらず、友達もなく、四畳半のアパートには電話もテレビもなかった。それで、夜は銭湯に行くと、さっさと床に入った。
あの頃、どこにでも行けて、何にでもなれると思っていた。
あれから21年…
10歳も20歳も歳の離れた役者さんたちと一緒に舞台に立つこになるとは、あのころの私は夢にも思わなかった。