本日は個別の自主稽古を除き、全体としての稽古はなかった。
その代わりに小西先生によるキャストひとりひとりとの個人面談、散歩、そして役をシャッフルしての読み合わせが行われた。

いちばん意外だったのが散歩だ。小西先生が「散歩に行くぞ」と言われた時は、みんな「ええっ?」という反応だった。

しかし先生によれば、散歩というのは建設的な話し合いをする上で最適なシチュエーションなのだそうである。お互いに並んで歩くと相手の話をよく聞ける。また、足を使うことで思考も活性化する…などのメリットがある。確かにプロ野球やサッカーの練習において、散歩をメニューに取り入れているというのはよく聞く話だ。

各自相手役と歩くこととなったが、私演じるヤーコフには特に相手役がない。そこで同じく相手役がないソーリン役の小西先生と組ませていただいたのだが、サッカーと演劇の類似性についてや、組織論にいたるまで興味深いお話を聞くことができた。

考えて見れば、しょっちゅうお会いしているにも関わらず、先生と個人的にお話をさせていただくことは意外と少なかったので面談、散歩を通してよい機会をいただけた。

アトリエに戻って台本の読み合わせ。ただし、自分の演じる役ではなく、先生が指定する役を読むことに。私は主にシャムラーエフをやった。

この読み合わせの主旨として…実際に演じる役者さんに対して、ダメだしをするつもりで読むように、また、他の役者が自分の役柄の台詞をどう読むのをよく聞き、そこから学ぶように、ということを言われた…が実際そんなことを意図して読む余裕は私にはなかった。

実際、シャムラーエフをやってみて、声の出し方やテンションを一定にできず、台詞ごとにばらばらで、一貫性がなかった。

「軍人らしい話し方が自然にできている」というコメントをいただいたことは嬉しいが、到底満足できるものではない。もっと練習が必要だ。但し、自分に下手さが自覚できるようになったことは一つの進歩と言えるかもしれない。


本日は、一つの役柄に数ヶ月間取り組んできて疲労している感性や感覚をストレッチし、ラストスパートに備えるためのリフレッシュの一日だったように思う。