マサトです。


昨日、仕事が終わって電車に飛び乗ると、目の前にとても綺麗な外国の女性が英語の小説を読みながら立っていた。

ふと目線を下げると、お腹の当たりが大きく膨らんでいる。

妊婦さんだ。

僕の周りに今、妊婦さんがいるせいか、全く関係ない人でも心配してしまう。

電車の中は、満員とはいかないまでも、そこそこ混み合っていて、座る席ももちろんない。

次の駅に着いて、人が多少動くと、外国人の妊婦さんは、僕の隣の扉の隅にもたれかかって持っている小説をたたみ、じっとしている。

外国人の妊婦さんが僕の左隣に移ったので目の前は、二人組の女性が見えた。

その二人組の女性も、後から入ってきた乗客に押される形で僕との距離を縮めてきたが、全く気にせず話に没頭している。

耳に入ってきた話からすると、二人とも、30代の水商売関係の人らしい。

かなり混んできた電車の中で恋バナの話に花を咲かせている。

一方、左隣では、外国人の妊婦さんが静かに、でも小説を持っている手をたまに口元へ持っていきながら、自分の降りる駅がくるのを待っている様子。

僕は最初、持っていたエッセイ集を読んでいたが、途中から全く雰囲気が違う前と左隣に意識が行き過ぎて、読むことができなくなっていた。


まだ顔色は悪くなっていないが、もし、左隣の外国人の妊婦さんが突然苦しみだしたらどうしよう。

もしそうなっても、今乗っている電車は特急だから、次の駅に着くまでまだ時間はかかるからどうしよう、みたいな勝手な妄想を膨らませていた。


そんな中、電車がブレーキをかけたのか、突然右に身体が傾き、右隣にいた女性の足を思いっきり踏んでしまった。

慌てて、右隣に謝る僕。

と同時に次の駅に着いて、目の前の二人組の女性も外国人の妊婦さんも降りていった。


何やってるんだろう、僕。


とりあえず、外国人の妊婦さんが無事に目的地に着いたことだけ、よかったと胸をなで下ろした。