いよいよ、50回目を迎えたスパ戦も最終回。
感無量(そうでもない。)
新王子誕生の瞬間に立ち会うべく、謁見の間には文武の官すべてが出揃っていた。
王子は戴冠の儀を追え、新王継承の詔をさずかり、めでたくアマトリチャーナ国の正式な王位継承者となった。
ボロネーゼは泣いた。
これまでに味わった幾多の困難が、すべては思い出となっていく気がした。それほどに即位の儀は神々しくまた粛々と執り行われた。
一方、ナポリタン姫も王位継承の詔のあと、正式に婚礼の儀を受けカルボナーラ王子の妻となった。
二人は、末永くともに手をとり国と国民のためによき王とその妻であることを誓いを立てた。
そして、リガトーニ王はこの儀式のあと、正式に王の座を辞し新王子に玉座に着くよう進め、王子はこれを再三辞し、ひとまずはリガトーニが玉座に戻った。
ま、こういうのはパフォーマンスという名の出来レースなのだ。
しかし、このめでたい席にもボンゴレ王女は姿を見せず「ありえない。」と部屋でひとりごちていた。
とにもかくにも、長く続いたこの国の不安は解消されようとしていた。
その証拠に、株価はこの日を境に右肩上がりによくなり、景気は回復の傾向を示し失業率は前年の34%から一気に12%まで回復。ついで、円高傾向にあった市場もやや回復し、インフレ気味にまで戻った。翌年には国債の発行が一旦停止。税率も下がり、国民の暮らしは楽に。ガソリンも160円台と高騰を見せていたが90円台まで下がるなど、カルボナーラ王子とナポリタン姫との結婚を境に国は潤い始めていた。
二人の結婚から2年後、コンキリエは宰相の職を辞し隠居。新宰相にはボロネーゼが選ばれた。ボロネーゼはすぐさま国民の平等をうたい、これを議会にかけて通し、貴族身分の解体をし文武官の数を抜本的に減らし税金の無駄遣いを避けた。世に言う『農奴解放令』がそれである。
また、この年、王子はアマトリチャーナ国国王に即位。その長く栄華にみちた政権をスタートさせることとなる。
さらには、二人の間に第一子が誕生。
立派な男の子であったことからナポリタン姫の名をもじって『ナポレオン』と名づけられた。
余談だがこの子は、成人が近づくやすぐさま軍を率い、近隣諸国を平らげアマトリチャーナ国の領土拡大に貢献した。不可能という文字が辞書にないほどの有能な子だったがどこか思い上がった感じの強いところは父親譲りだと陰口がたえなかった。
また、二人の間には6男5女が生まれ、それぞれ稀有な才能と美貌に恵まれたという。
なにはともあれ、アマトリチャーナ国は平和と愛に満ちた素晴らしい国として栄えた。
しかしそこには、多くの犠牲があり、血と涙があり、インドカレー婦人の不可思議な活躍があったことは言うまでもない。
完。
出演
カルボナーラ王子…センチメンタルコニー
ナポリタン姫…ヒロインゆかちゃん
ボロネーゼ…われらがマサカズ
リガトーニ王…大先輩島津さん
コンキリエ…同じく岩下さん
ペペロンチーノ伯爵…右腕キクリン
ジェノベーゼ…市役所宮坂
アランチャ…看板まきちゃん
ボンゴレ王女…ディズニーあいちゃん
想像妊娠した侍女…チームが厳しいひろえちゃん
妖怪いろいろ…太陽王室井
…職質本多
…天然かよちゃん
…妖怪あやのちゃん
インドカレー婦人…インド人久美子さん
作・ センチメンタルコニー