馬車が城門に近づくころには、門は大きく開け放たれ堀に架けられた橋の上には左右に鼓笛隊が立ち並び盛大な音楽が奏でられていた。鼓笛隊の奥には侍女や文官たちが並び、みな口々に新王子と王女の入城を祝っていた。

「いかがでございますかな?王子様。」

カルボナーラ男爵の馬車に乗り込んできたコンキリエがたずねた。男爵はなんとも答えようが無かった。これまでに多くの人間を犠牲にし、その犠牲の上に今の自分の約束された栄華があるということを受け入れることは容易ならざることだった。

「まだ、疑問をお持ちでございますか。」

コンキリエはややうんざりしたといった様子でそう言った。そしてナポリタン姫のほうを見た。

「姫はいかがでございますか?」

「最高っス。」

姫は質問が終わらないうちにそう答えた。コンキリエも男爵もこのときばかりは同時にうんざりした。

「しかし、姫。国は今、貧困を極め民は食べることもままならずその打開策に明け暮れています。国を建て直し、以前のような豊かな富める国にするには時間がかかります。」

男爵は重い気持ちを振り切るように姫にそう言った。いや、言ってみた。違うな、言ったほうが良いかなと思った。

「ふーん。そんなこと、知らないわ。それは国王になるあなたの仕事でしょ?私、知ーらない。」

男爵はカチンと来た。若い女のわがままに慣れていないのだ。

「あの、いいですか、姫。あなたが食べるパンだって無いかもしれないんですよ!」

姫は、この男爵の言葉をまったく意に介さずこういった。

「パンがなければ、お菓子を食べればいいのよ。」

キターーーーーーーーーーーーーーо(ж>▽<)y ☆

伝家の宝刀出ました!!

名言!!!!「パンがなければ、お菓子を食べればいいのよ」

まさか生で聞けるとは思いませんでした。かのマリー・アントワネットがフランスの困窮を知らず口にしたという伝説の名言。せっかくだしこの際だからもう一度言ってもらっちゃいましょうよ。では、ナポリタン姫どうぞ!

「え、もう一回っすか?しょうがないなぁ。」


「パンがなければ、お菓子を食べればいいのよ」

コンキリエと男爵は唖然としつつ城の中へと進んでいった。