王室は今、ナポリタン姫を迎えて歓迎ムード一色だった。
長い飢饉と疫病を戦い抜き、国民の誰もが何らかの明るいニュースを待っていたのだ。
姫はアマトリチャーナ国の国民に心から歓待され、また姫もまたそれにふさわしいだけのヒロインっぷりを発揮し国中が沸き立った。
国王自身はというと、ボンゴレ王女がディズ○ーランドへ帰ってしまった事もあって当初は心から喜ぶ事は出来ない様子だったが、ナポリタン姫のぶりっ子ぶりっ子にそのうち騙され始め、しまいには目に入れても痛くないような可愛がりようとなった。
それを見た一部の侍女たちからは、「案外ロリコンなのではないか。」という憶測が囁かれたがコンキリエ宰相の「案外ではない、やっぱりだ。」という一言に、話題にするのもバカらしくなり、みな口を噤むようになったという。
さて、日は流れてとうとう王の御前にての花婿の宣誓が行われる日。
開かれた城門の前には一般の国民が誰が候補者かと黒山の人だかりを作り、城内は城内で噂が噂を呼び、二人の男爵を一目見ようと侍女たちがひしめき合っていた。
そんな正午過ぎ…。最初に現れたのはペペロンチ-ノ伯爵だった。栗毛の駿馬にまたがりいつもよりは幾分ましな服装で従者のジェノヴェーゼを引き連れて現れた。城門の前では口さがない国民たちが伯爵の通り過ぎるのを待ってひそひそと「あれが噂のロリコン伯爵よ。」「なんでもスクール水着を求婚の証としてプレゼントされたそうな。」「いや、それだけではない。その水着のゼッケンには3年4組と書いてあったそうだが、どうやら小学生の事だそうだ。」「8歳じゃありませんか!なんと汚らわしい。」などと罵られていた。はじめこそ、伯爵は知らん顔を決め込んでいたが、そのうち辛くなりちょっぴり泣いていたという。しかし城内にはいるや、けたたましいラッパの音が鳴り響くと思わず落馬しそうになるがすぐに態勢を立て直し、何とか謁見の間へと入っていったという。
それから一刻の後、周囲の期待が今まさにピークというタイミングでカルボナーラ男爵が登場した。真っ白な白馬に、真っ赤なお召し物、それにトレードマークのニッカポッカを颯爽とはきこなし、従者のボロネーゼを従えて悠々城へと入っていった。
しかしボロネーゼは馬の右側に立っていたため、右側の国民たちは男爵が従者を引き連れて入場したといい、左側の国民たちはボロネーゼの背が小さくて見えず、男爵は一人で入場したといい、後々まで言い争いの火種となった。今日でも議会において右派、左派などという呼び名があるのはこの事件がきっかけだという説もある。らしい。
途中、すれ違った町娘が妊娠したり、恋わずらいで倒れたりしたほかは特に大きな事故もなく入城を果たした。
城内では侍女たちが彼の入場を一目見ようと押し合いになり、何人かの侍女が怪我をしたが男爵がそれを見かねて「並んでください。」というと、すんなり全員並んだのでけが人は存外少なかった。
このとき男爵の手で抱き起こされた侍女の一人(伊東裕○)が想像妊娠の末、無事出産した女の子がプリンチペッサ・ビアンカ・ネーヴェ(白雪姫)だということはあまり知られていない。
とにもかくにも、二人の貴族はこの場所にて始めて合間見え、ここに歴史的な瞬間を作り出そうとしていた。