どこかの町の小さなジャズ喫茶で、キミは一心不乱に壁にかけられた絵を見ていた。

僕は話さなければいけない言葉を何度も不味いコーヒーと一緒に喉の奥へと押し込んだ。

灰皿はラッキー・ストライクの吸殻でいっぱいで、それが僕を余計にやるせない気持ちにさせた。

「ねぇ、あの絵、私の横顔に似てない?」

「そうかな?…あのね、今日ぼくは君に話さなくちゃいけないことがあるんだ。」

キミはゆっくりともう一度絵の方を向き直って「似てると思うけどなぁ」と言った。


ワインの名は「レ・ペルゴーレ・トルテ 」モンテヴェルティーネ トスカーナ/イタリア