演出家という仕事が好きなのだ。単に。
恐らく、今関わっている仕事の中では群を抜いて演出家という仕事が好きだ。
何故か?
それも簡単なことだ。
開演のブザーが鳴ったら、もう僕の仕事は完璧に終わりを告げるからだ。
面白かったら、役者を誉め、つまらなかったら作者が批難される。
演出というのは(僕の中で)在ってないような職業なのだ。そこが好きだ。
店で(お客様に)ワインを選ぶ時、いろいろ僕が説明をしてお客様がお選びになる。美味しいと幸せそうになさる。
でも、ワインを僕が作っているわけではなく、飲むのもお客様自身なのだから、御礼を言われたりするとちょっとビックリしてしまう。僕はただ紹介したに過ぎないのだ。だから、要るといえば要るし、要らないと言えば要らない。だから、ソムリエという仕事も好きだ。
こんなこと言うと、なんだか無責任に仕事してるみたいだが、僕はどんなことでもそうだが「僕のおかげ」というのは嫌いなのだ。ま、だからといって「いてもいなくてもいっしょ」というのは寂しいわけだが。
出演せずに、演出して、チケットを買って客席で見たいと思う。
そういう寂しいことをいうとみんなに怒られる。けど、そうしてみたいんだから、いいじゃんか一回くらい。
次の作品はこの10年でも例のないくらい素敵な面子で出来る。
僕は、演出とプロデュースをして、本番は客席で見る。ぞくぞくする。
でも、辞めますと言った事はここで撤回しておく。昨日と今日で20作品配役したけど、やっぱり僕の出る幕はある。だから今後は秋は出る。春は書き下ろしと演出。と、しておこうと思う。
タイトルは、演出家にこだわるわけ。ってなってるけど、これじゃ、俳優にこだわるわけ。のほうが正しい。
あとね、『かもめ』の件ですが、真剣に取り組みます。
ま、コラボになりますが。
会って話すと、どうしても協力したくなる。なんでだろうな。
ま、トレープレフを餌にされたら誰の言う事でも聞いてしまう自信はあるわけだが…。