その丘を登りきると、今まで見た事のない景色が広がっている。昨日泊まったホテルで知り合った老人は僕にそう言った。
「見た事のない景色?」僕がそう尋ねると、老人は静かに首を縦に振り「そう。しかし、それを言葉では説明することは出来ない。あんたは自分の足でそれを確かめなくてはならない」そういって老人はしわだらけの顔をより一層しわくちゃにして、にやりと笑った。
僕は今、丘の頂上を目指して歩いている。太陽は西に傾き始め、足は棒のようになりはじめている。
それでも、僕はその「見た事のない景色」を求めている。
ワインの名は「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ00 ファットリア・ディ・バルビ」トスカーナ/イタリア