超満員のコンサート会場はクライマックスを迎えたその熱で、割れんばかりの歓声とアンコールが鳴り響いていた。

照明が落ち、イントロが流れだすと会場には一瞬にして静寂がおとずれ、真夏の夜の熱だけがはっきりと肌にその感触を残す。

眩い照明に照らし出され、マドンナが、「キャンディ・パフューム・ガール」を唄いだす。

熱に侵された聴衆に彼女はほんの一声でありとあらゆる潤いを与え、その美貌とパフォーマンスを求めて聴衆は再び渇きを感じる。マドンナを形容する言葉はない。マドンナはマドンナなのだ。

渇きを作り出すものは「熱」ではなく、欲望だ。その欲望を作り出す何かを「本物」と世界は呼ぶのだ。


シャンパンの名は「サロン95」シャンパーニュ/フランス