ラジオのボリュームを上げると、井上陽水が「帰れない二人」を唄っていた。「僕は、君を・・・と言いかけた時、街の明かりが消えました」続くファルセットの伸びやかな美しさは、そこに潜む恋の影が儚くひめやかで、若い二人をめくるめく時間へと誘うのが伝わってくる。

まだ春の浅い3月のあの夜、246であの人と重ねた唇は今でもはっきりと僕の中に刻まれている。

このワインの持つ、はっきりとした美しい酸はそんな恋のひめやかな喜びを僕に語りかけてくる。


ワインの名は「ぺティ・アルヴィン04 レ・クレーテ」 ヴァッレ・ダオスタ/イタリア