樹海の中をあてもなく歩く。ここに足を踏み込んで、もうどのくらい経つだろう。身体はひどく渇ききり視界は歪み始める。

ふと耳を澄ますと、どこかに川のせせらぎが聞こえてくる。僕は迷わず進路をその方向へと変え、一心不乱に歩く。

小川の清流は、ささやかな音を立てその周り一面に小さな白い花を咲かせている。僕はその神聖な光景に一瞬、まばたきをするのも忘れて見入る。求めていた光景は、求めていた以上の美しさで僕を虜にしていく。そこでやっと僕は小川のせせらぎをひと掬い渇ききった喉へと流し込む。

世の中には、枯渇だけがもたらす深い感動がある。それは追い求めた者のみに与えられる至福の時。


ワインの名は「パルメ ピエモンテ・シャルドネ04 トリンケロ」 ピエモンテ/イタリア