おいしいワインは、この世に数多ある。美しい女性が星の数ほど存在するのと同じで。

けれど、唯一無二と思えるほど好きな白ワインは、これをおいて他にまだ一本も出会わない。

一年におよそ400種類ものワインを飲むようになってもう5年くらいになるが、このワインの美しさ、滑らかさ、風味、その全てにおいて僕の心を打つものにはめぐり合わなかった。

これよりおいしいワインは存在する。しかしこれより好きなワインはまだ存在しない。

「好き」というのは、それほど特別な感情なのだ。


ワインの名は「サンクトヴァレンティン・ピノグリージョ サンミケーレ・アッピアーノ」 トレンティーノ・アルトアディジェ/イタリア